第6回定期演奏会《ドイツバロックの葬送音楽》1992.7.3 ノバホール

【演奏者】
指揮 鈴木優 / ヴィオラ・ダ・ガンバ 中林径子 / オルガン 渡部聡 / 合唱 つくば古典音楽合唱団

【プログラムと演奏録音】
J.S.Bach (1685-1750) バッハ
Jesu, meine Freude    BWV227 イエスよ、わが喜びよ
   1. Choral "Jesu, meine Freude" 06-01.mp3:1.0MB
   2. Chor "Es ist nun nichts Verdammliches an denen" 06-02.mp3:2.5MB
   3. Choral "Unter deinen Schirmen" 06-03.mp3:1.0MB
   4. Chor "Denn das Gesetz des Geistes" 06-04.mp3:876KB
   5. Choral "Trotz dem alten Drachen" 06-05.mp3:2.0MB
   6. Chor "Ihr aber seid nicht fleischlich" 06-06.mp3:2.6MB
   7. Choral "Weg mit allen Schätzen!" 06-07.mp3:978KB
   8. Chor "So aber Christus in euch ist" 06-08.mp3:1.6MB
   9. Choral "Gute Nacht, o Wesen" 06-06.mp3:3.2MB
  10. Chor "So nun der Geist des" 06-10.mp3:1.3MB
  11. Choral "Weicht, ihr Trauergeister" 06-11.mp3:1.1MB
-休憩-
H.Schuez(1585-1672) シュッツ
Musikalische Exequien SWV279-281 『音楽による葬送』
Teil I: Konzert in Form einer deutschen
Begräbnis-Missa  SWV 279
第1部 ドイツ埋葬ミサの
 形式によるコンチェルト
06-12.mp3:22.9MB
Teil II: Motette  "Herr, wenn ich nur
dich habe"  SWV 280
第2部 モテット
 《主よ、あなたさえ私にあれば》
06-13.mp3:3.0MB
Teil III: Canticum Simeonis SWV 281 第3部 シメオンのカンティクム   06-14.mp3:6.1MB

Encore: Schuez, Selig sind die Toten, SWV391 06-15.mp3:3.7MB
Encore: Bach, Jesu, meine Freude, BWV227-1 06-16.mp3:1.1MB


【プログラムノート】

《合唱曲》 鈴木 優

プログラム前半の J. S. バッハ(1685~1750)のモテット第3番「イエスよ、わが喜びよ」は、1723年 7 月18日にライプツィッヒ聖ニコライ教会で行われた、中央郵便局長未亡人ヨハンナ・マリーア・ケーゼの追悼礼拝の際に歌われるために作曲されました。

バッハの現存する6曲のモテットは、すべて祝典や葬儀のために依頼されて作られたものです。それらの依頼はバッハにとって貴重な臨時収入をもたらすものであったようで、友人にあてた手紙の中には「しかし、ひとたび健康な風が吹くと、反対に収入は減り、例えば昨年は、葬儀によってふだん得られる臨時収入を100ターラー以上も失った次第であります。」といった文面も残っております。

このモテットは、J. クリューガーが 1656年に作曲したコラール(ドイツ・プロテスタント教会の讃美歌)「イエスよ、わが喜びよ」による6節からなるコラール編曲の間に、おそらく故人の意志によって選ばれたであろう「ローマの信徒への手紙」第8章の詩句をテキストとする5曲の合唱曲をはさみ込んでいくという構成をとっています。 全曲は11の部分からなっているわけですが、第1曲と終曲が比är的単純な4声のコラール編曲であり、また第2曲を短縮したものが第10曲にあたるというように、中央に位置する第6曲のフーガを軸に完全な対称形を形作っています。

細部に目を向けますと、歌詩の言葉を象徴的に、あるいは絵画的に描写する音型が多用されています。例えば「霊」(Geist) という言葉には、肉体に制約されない自由さを表すかのように、柔軟なメリスマが与えられておりますし、「陰府の淵」 (Abgrund) という言葉では各声部が一気に下降する音型が歌われます。このような手法はルネサンスや初期バロックの主にマドリガーレなどで、頻繁に用いられましたが、バッハの時代に於いても、重要な音楽の発想法であったといえるでしょう。

*  *  *

プログラム後半の作曲家ハインリッヒ・シュッツ(1585~1672)は中部ドイツのケストリッツに生まれました。シュッツは当初両親の意志に従い法学博士を志しますが、ヘッセンのモーリッツ学問伯の熱心なすすめにより音楽家の道を歩みます。

当時のドイツの音楽家が皆そうであったように、シュッツもまた1609年にヴェネツィアへ行き、1612年までジョバンニ・ガブリエリに師事しました。

帰国後1617年にドレスデン宮廷礼拝堂の楽長となり、生涯この地位を全うします。

シュッツの後半生の真只中に30年戦争(1618~1648)がおこります。ある記録によれば 1800万人のドイツの人口が戦後 700万人になってしまったといわれています。

こういったきびしい時代にあって、シュッツの宮廷楽団も規模は縮小され、その質はみじめに低下していきました。本日演奏する Musikalische Exequien はそんな状況下で1636年に作曲されました。

この曲はシュッツの旧知であったハインリッヒ・ポストゥームス・フォン・ロイス公の依頼により成立したものです。ロイス公は自分の死の近いことを知り、自分の葬儀の段取りを自ら決めました。音楽も自らテキストを指定してシュッツに依頼したわけです。そのテキストは棺にも彫りこませたといわれています。

ロイス公の葬儀は1636年 2月 4日に行われ、この曲が演奏されたわけですが、ロイス公自身も生前にこの曲を試演させ、それを聴いたと伝えられています。

全曲は大きく3つの部分にわかれています。

第1部は「ドイツ埋葬ミサの形式によるコンツェルト」で、キリエとグローリアからなるドイツ・プロテスタント教会のミサ・ブレヴィスにかなうものです。この部分は、聖句を歌う独唱者群と合唱が交互に歌い交わしていきます。合唱は、キリエの部分ではドイツ語化された「主よあわれみたまえ」を歌い祈ります。 グローリアの部分では、独唱者の聖句に対してコラール編曲の合唱曲で答え、聖句を我々人間のレベルで解釈したり、集団的な祈願を捧げるといった構造になっています。

第2部は「モテット」で、二重合唱による8声部の合唱曲です。この曲のテキストである「主よ、あなたさえいれば」は、第1部でも歌われていますが、ロイス公が葬儀の際の説教のテーマとして指定したものです。

第3部の「シメオンのカンティクム」は、ロイス公の棺が実際に埋葬される時に作曲者自身の指揮によって歌われたと伝えられています。合唱団の歌うシメオンのカンティクムは、ルカ伝の中のエピソードで、主が使わす救い主に会うまでは死ぬことはないという聖霊のお告げを受けていた老人シメオンが、幼子イエスを腕に抱いて神をたたえた讃歌です。これに対して、2人のセラフィムと「幸福な魂」からなる第2のグループは、「主にあって死ぬ者は幸いなり」と歌い、肉体を離れて天国に至り天上の霊や天使たちと交わる幸福な魂を示しています。

有名な音楽学者であるアルフレート・アインシュタインは、シュッツを評して「知りうる限りのもっとも精神的な音楽家」と言っています。

シュッツの音楽が広く一般大衆に受け入れられるものではないことは、はっきりしています。しかし、永遠にその生命を持ち続けるであろうことも確かなことであると確信いたします。


【歌詞対訳】
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 
Jesu, meine Freude イエスよ、わが喜びよ
1.Choral 1.コラール
Jesu, meine Freude, イエスよ、わが喜びよ、
meines Herzens Weide, わが心の楽しむ牧、
Jesu, meine Zier, わが身の飾りなるイエスよ、
ach wie lang, ach lange ああ、いく久しく、げに久しく
ist dem Herzen bange わがこころもだえ
und verlangt nach dir! きみをば慕いてあくがれこしぞ!
Gottes Lamm, mein Bräutigam, 神の子羊、わが花婿、
außer dir soll mir auf Erden きみいまさずばこの世にて
nichts sonst Liebers werden. わが心をひきとむるもの絶えてなし。
(《Jesu, meine Freude》
J.フランク作イエス愛の歌[1653]第1節)
2.Chor 2.合唱
Es ist nun nichts Verdammliches an denen, いまや罪に定めらるることなし、
die in Christo Jesu sind, キリスト・イエスにあるものは。
die nicht nach dem Fleische wandeln, 彼ら肉によりて歩まず、
sondern nach dem Geist. 霊によりて歩めばなり。
(ローマの信徒への手紙 8:1
[ルター訳(以下同じ)] )
3.Choral 3.コラール
Unter deinen Schirmen きみがみ翼のもとにありて
bin ich vor den Stürmen われは、嵐と寄せくる
aller Feinde frei. 敵の万軍をも恐れず。
Laß den Satan wittern, サタンよ、荒れ狂え、
laß den Feind erbittern, 敵よ、たけり立て、
mir steht Jesus bei. イイエスわれにつきたもう。
Ob es itzt gleich kracht und blitzt, よし天の鳴りとどろきていかづちを下し
Ob gleich Sünd und Hölle schrecken: 罪罪と陰府その口を開きて脅かすとも、
Jesus will mich decken. イエスわれをかばいたもう。
(《Jesu, meine Freude》第2節)
4.Chor 4.合唱
Denn das Gesetz des Geistes, そはキリスト・イエスにありて
der da lebendig machet in Christo Jesu, 生命を与うる御霊の法則は、
hat mich frei gemacht われを罪と死の法則より
von dem Gesetz der Sünde und des Todes. 解き放ちたればなり。
(ローマの信徒への手紙 8:2)
5.Choral 5.コラール
Trotz dem alten Drachen, さあれ、年を経し竜よ、
Trotz des Todes Rachen, さあれ、死の虎口よ、
Trotz der Furcht darzu! さあれ、内なる恐怖よ、襲い来たれ!
Tobe, Welt, und springe, 世よ、ゆれ動きて砕け散れ、
ich steh hier und singe われはここに堅く立ちて歌わん、
in gar sichrer Ruh. 揺るぎなき平安の砦のあれば。
Gottes Macht hält mich in acht; 神の力われを守れり。
Erd und Abgrund muß verstummen, 地も陰府の淵もついに黙さであらじ、
ob sie noch so brummen. よしなお烈しく吼えたけらんとも。
(《Jesu, meine Freude》第3節)
6.Chor 6.合唱
Ihr aber seid nicht fleischlich, されど汝らは肉にある者ならで、
sondern geistlich, 霊にある者なり。
so anders Gottes Geist in euch wohnet. そは神の御霊汝らのうちに宿りたまえばなり。
Wer aber Christi Geist nicht hat, キリストの御霊を持たざる者は、
der ist nicht sein. キリストのものにあらず。
(ローマの信徒への手紙 8:9)
7.Choral 7.コラール
Weg mit allen Schätzen! すべての宝よ、去れ!
Du bist mein Ergätzen, きみこそわが愉悦なれ、
Jesu, meine Lust! イエス、わが逸楽よ!
Weg, ihr eitlen Ehren, むなしき栄誉よ、去れ、
ich mag euch nicht hören, われは汝らごときに耳を貸さじ、
bleibt mir unbewußt! われ汝らを知らず!
Elend, Not, Kreuz, Schmach und Tod 悲惨、困窮、十字架、恥辱、しかして死、
soll mich, ob ich viel muß leiden, よし多くの艱難となりて攻めかかるとも、
nicht von Jesu scheiden. われをばイエスより引き離つことなし。
(ローマの信徒への手紙 8:35 ~ 39)
《Jesu, meine Freude》第4節)
8.Chor 8.合唱
So aber Christus in euch ist, されどキリスト汝らにいまさば、
so ist der Leib zwar tot 身体は罪のゆえに
um der Sünde willen; 死にたるものなれど、
der Geist aber ist das Leben 霊は義のゆえに
um der Gerechtigkeit willen. 生命にあらん。
(ローマの信徒への手紙 8:10)
9.Choral 9.コラール
Gute Nacht, o Wesen, いざさらば、世の選びとりし
das die Welt erlesen, 生きざまよ、
mir gefällst du nicht. そはわれにそぐわず、
Gute Nacht, ihr Sünden, いざさらば、もろもろの罪よ、
bleibet weit dahinten, 遠きかなたに失せよ、
kommt nicht mehr ans Licht! またと日の目を見ざれ!
Gute Nacht, du Stolz und Pracht! いざさらば、傲りと奢りよ!
Dir sei ganz, du Lasterleben, 悪にまみれし生活よ、心はれやかに汝に告げん、
gute Nacht gegeben. いざさらば、永遠の眠りに就け、と。
(《Jesu, meine Freude》第5節)
10.Chor 10. 合唱
So nun der Geist des, かくて、イエスを死人の中より
der Jesum von den Toten auferwecket hat, 甦えらせたまいし者の御霊、
in euch wohnet, 汝らのうちに宿りたまわば、
so wird auch derselbige, キリストを死人の中より
der Christum von den Toten auferwecket hat, 甦えらせたまいし者は、
eure sterbliche Leiber lebendig machen 汝らの死ぬべき身体をも生かしたまわん。
um des willen, daß sein Geist in euch wohnet. そは汝らの内に宿りたもう御霊によるなり。
(ローマの信徒への手紙 8:11)
11.Choral 11. コラール
Weicht, ihr Trauergeister, 退け、悲しみの霊ども、
denn mein Freudenmeister, わが喜びの君にています
Jesus, tritt herein. イエスに来たりたまえば。
Denen, die Gott lieben, 神を愛する者には
muß auch ihr Betrüben 心くもらす逆境もまた
lauter Zucker sein. 甘き喜びたるべし。
Duld ich schon hier Spott und Hohn, たとえわれここにて嘲りと辱しめを受くるとも、
dennoch bleibst du auch im Leide, しかり、悩みの壁われを囲むとも、なお、きみこそ、
Jesu, meine Freude. イエスよ、わが喜びよ。
(《Jesu, meine Freude》第6[終結]節)
[杉山 好 訳]

Heinrich Schuez, Musikalische Exequien 音楽による葬送
Teil I: Konzert in Form einer deutschen
Begräbnis-Missa SWV 279
第1部:ドイツ埋葬ミサの形式によるコンチェルト
I. I.
1. Intonatio 1. 先唱
Nacket bin ich vom Mutterleibe kommen, 裸で私は母の胎から出た、
2. Soli (Tenor 2, Bass) 2. 重唱(テノール 2、バス)
nacket werde ich wiederum dahinfahren. 裸でまた、そこへ帰ってゆこう。
Der Herr hat's gegeben, 主がお与えになったものを、
der Herr hat's genommen, 主がお取り戻しになったのだ。
der Name des Herren sei gelobet. 主の御名はほむべきかな。
(ヨブ記 1:21)
3. Capella 3. 合唱
Herr Gott, Vater im Himmel, 主なる神、天にまします父よ、
erbarm dich über uns! われらを憐れみたまえ!
(キリエ・エレイソン)
4. Soli (Sopran 2, Tenor) 4. 重唱(ソプラノ 2、テノール)
Christus ist mein Leben, キリストは私の命、
Sterben ist mein Gewinn. 死は私の益。
Siehe, das ist Gottes Lamm, 見よ、世の罪を
das der Welt Sünde trägt. 担いたもう神の小羊。
(フィリピの信徒への手紙 1:21)
(ヨハネによる福音書 1:29b)
5. Capella 5. 合唱
Jesu Christe, Gottes Sohn, イエス・キリスト、神の御子よ、
erbarm dich über uns! われらを憐れみたまえ!
(クリステ・エレイソン)
6. Soli (Alt, Bass) 6. 重唱(アルト、バス)
Leben wir, so leben wir dem Herren; われらが生きるとき、われらは主のために生き、
sterben wir, so sterben wir dem Herren. われらが死ぬとき、われらは主のために死ぬ。
Darum: wir leben oder sterben, それゆえ、生きるにしろ死ぬにしろ、
so sind wir des Herren. われらは主のものである。
(ローマの信徒への手紙 14:8)
7. Capella 7. 合唱
Herr Gott, Heiliger Geist, 主なる神よ、聖霊よ、
erbarm dich über uns! われらを憐れみたまえ!
(キリエ・エレイソン)
II. II.
8. Intonatio 8. 先唱
Also hat Gott die Welt geliebt, かくも神は世を愛したまい、
daß er seinen eingebornen Sohn gab, そのひとり子を賜った。
9. Soli (Sopran 2, Alt, Tenor 2, Baß) 9. 重唱(ソプラノ 2、アルト、テノール 2、バス)
auf daß alle, die an ihn gläuben, それは、彼を信じる者が
nicht verloren werden, ひとりも滅びることなく、
sondern das ewige Leben haben. 永遠の命を得るためである。
(ヨハネによる福音書 3:16)
10. Capella 10. 合唱
Er sprach zu seinem lieben Sohn: 神はいとし子に語った。
Die Zeit ist hie zu erbarmen; 今こそ、憐れみの時が来た。
fahr hin, meins Herzens werte Kron, 行け、わが心の貴き冠。
und sei das Heil der Armen, 貧しき人々の救いとなり、
und hilf ihn' aus der Sünden Not, 彼らを罪の苦難より助け、
erwürg für sie den bittern Tod 彼らのために苦しき死を殺し、
und laß sie mit dir leben. 彼らをそなたと共に生かしめよ。
(『いまぞ喜べ、汝らキリストのともがらよ』
第5節、ルター、1523年)
11. Soli (Sopran, Tenor) 11. 重唱(ソプラノ、テノール)
Das Blut Jesu Christi, des Sohnes Gottes, 神の御子イエス・キリストの血が、
machet uns rein von allen Sünden. われらをすべての罪より浄めてくれる。
(ヨハネの手紙I 1:7b)
12. Capella 12. 合唱
Durch ihn ist uns vergeben キリストによりわれらの罪は許され、
die Sünd, geschenkt das Leben. 命がわれらに与えられる。
Im Himmel soll'n wir haben, 天にわれらは、おお、神よ、
o Gott, wie große Gaben! どれほど大きな賜物を得ることでしょうか。
(『いざ、主なる神に感謝を捧げん』第6節
ルートヴィヒ・ヘルムボルト、1575年)
13. Soli (Sopran, Baß) 13. 重唱(ソプラノ、バス)
Unser Wandel ist im Himmel, われらのなりわいは、天にある。
von dannen wir auch warten そこからわれらは、
des Heilandes Jesu Christi, des Herren, 主なる救い主、イエス・キリストを待ち望む。
welcher unsern nichtigen Leib verklären wird, キリストはわれらの卑しいからだを変容させ、
daß er ähnlich werde seinem verklärten Leibe. 御自身の神々しいからだと等しくして下さるだろう。
(フィリピの信徒への手紙 3:20-21a)
14. Capella 14. 合唱
Es ist allhier ein Jammertal, ここは涙の谷、
Angst, Not und Trübsal überall; 不安、苦難、憂いがあるばかり。
des Bleibens ist ein kleine Zeit, 束の間の宿りには
voller Mühseligkeit, 辛苦が満ち、
und wer's bedenkt, ist immer im Streit. 世を思い見る者は、たえず葛藤にさらされる。
(『われわがことを神に委ね』第3節
ヨハン・レオン、1582/89年)
15. Soli (Tenor 2) 15. 重唱(テノール 2)
Wenn eure Sünde gleich blutrot wäre, 彼らの罪が血のように赤くとも、
soll sie doch schneeweiß werden, それは雪のように白くなろう。
wenn sie gleich ist wie rosinfarb, その色が乾しぶどうのように濁っていても、
soll sie doch wie Wolle werden. 羊の毛のように清くなろう。
(イザヤ書 1:18b)
16. Capella 16. 合唱
Sein Wort, sein Tauf, sein Nachtmahl 御言葉、洗礼、晩餐は、
dient wider allen Unfall, すべての災いにあらがう力。
der Heilge Geist im Glauben 聖霊は、信仰において
lehrt uns darauf vertrauen. それに依り頼むべしと教えてくれる。
(『いざ、主なる神に感謝を捧げん』第5節
ルートヴィヒ・ヘルムボルト、1575年)
17. Solus (Alt) 17. 独唱(アルト)
Gehe hin, mein Volk, in deine Kammer わが民よ、部屋に入り、
und schleuß die Tür nach dir zu! おのれのうしろの戸を閉じよ。
Verbirge dich einen kleinen Augenblick, 怒りが過ぎゆくまで、
bis der Zorn vorübergehe. しばし身を隠しおれ。
(イザヤ書 26:20)
18. Soli (Sopran 2, Baß) 18. 重唱(ソプラノ 2、バス)
Der Gerechten Seelen sind in Gottes Hand, 正しき者の魂は神の御手にあり、
und keine Qual rühret sie an. どんな責め苦も彼らに届くことはない。
Für den Unverständigen 分別なき者の目には
werden sie angesehen, als stürben sie, 彼らが死んだように見えるだろう。
und ihr Abschied wird für eine Pein gerechnet, 告別は苦しみ、
und ihr Hinfahren für Verderben; 去りゆくは滅びとみなされよう。
aber sie sind in Frieden. しかし、彼らは平安の中にある。
(旧続 知恵の書 3:1-3)
19. Solus (Tenor) 19. 独唱(テノール)
Herr, wenn ich nur dich habe, 主よ、あなたさえ私にあれば、
so frage ich nichts nach Himmel und Erden. 天にも地にも、私の尋ね求めるものはない。
(詩篇 73:25)
20. Soli (Alt, Tenor 2, Bass) 20. 重唱(アルト、テノール 2、バス)
Wenn mir gleich Leib und Seele verschmacht', わがからだと魂が衰えようとも、
so bist du, Gott, 神よ、あなたは
allzeit meines Herzens Trost und mein Teil. いつもわが心の慰め、私の一部分なのです。
(詩篇 73:26)
21. Capella 21. 合唱
Er ist das Heil und selig Licht 彼は異邦人の救いにして
für die Heiden, 幸いなる光、
zu erleuchten, die dich kennen nicht, あなたを知らぬ人々をも照らし、
und zu weiden. 牧したもう。
Er ist seines Volks Israel 彼はその民イスラエルの
der Preis, Ehr, Freud und Wonne. 栄光と誉れ、喜びと楽しみ。
(『平安と喜びもてわれは往く』第4節
マルティン・ルター、1524年)
22. Soli (Baß 2) 22. 重唱(バス 2)
Unser Leben währet siebenzig Jahr, われらはこの世で70年の命。
und wenn's hoch kömmt, 健やかであったとしても、
so sind's achtzig Jahr, 80年に過ぎない。
und wenn es köstlich gewesen ist, たとえ貴重な生であっても、
so ist es Müh' und Arbeit gewesen. 骨折りと労苦ばかりで過ぎてゆく。
(詩篇 90:10a)
23. Capella 23. 合唱
Ach, wie elend ist unser Zeit ああ、なんと惨めなことか、
allhier auf dieser Erden, この世でわれらが過ごす生は。
gar bald der Mensch darniederleit, 人は老いゆくと見る間に、
wir müssen alle sterben, ことごとく死なねばならぬ。
allhier in diesem Jammertal ここ涙の谷においては、
ist Müh' und Arbeit überall, 至るところに骨折りと労苦がある。
auch wenn dir's wohlgelinget. 幸いに恵まれた者にさえ。
(『ああ、何と惨めなわれらの時』第1節
ヨハネス・ギーガス、1566年)
24. Solus (Tenor) 24. 独唱(テノール)
Ich weiß, 私は知る、
daß mein Erlöser lebt, 私をあがなう者は生きておられる。
und er wird のちの日に彼は、
mich hernach aus der Erden auferwecken, 私を地中から目覚めさせるであろう。
und werde darnach そののち私は
mit dieser meiner Haut umgeben werden, このわが皮膚に身をつつまれ、
und werde in meinem Fleisch Gott sehen. わが肉のまま、神を見るであろう。
(ヨブ記 19:25-26)
25. Capella 25. 合唱
Weil du vom Tod erstanden bist, あなたが死からよみがえりたもうたからには、
werd ich im Grab nicht bleiben, 私も墓に朽ち果てることはない。
mein höchster Trost dein Auffahrt ist, あなたの昇天は、わがこよなき慰め、
Todsfurcht kannst du vertreiben, 死の恐れを、あなたは追い払って下さる、
denn wo du bist, da komm ich hin, なぜなら、あなたのおられるところに私も行き、
daß ich stets bei dir leb und bin, 私はつねにあなたと共に生き、また在るのだから。
drum fahr ich hin mit Freuden. だから私は、喜んで世を去ってゆく。
(ニコラウス・ヘルマン、1560年)
26. Soli (Spran 2, Alt, Tenor 2, Baß) 26. 重唱(ソプラノ2、アルト、テノール 2、バス)
Herr, ich lasse dich nicht, 主よ、私はあなたを放しません、
du segnest mich denn. 私を祝福して下さるまで。
(創世記 32:27b)
27. Capella 27. 合唱
Er sprach zu mir: Halt dich an mich, 彼は私に言われた。私に依り頼め、
es soll dir itzt gelingen, 今やお前に成功が恵まれよう。
ich geb mich selber ganz für dich, 私は自身をすべてお前に与え、
da will ich für dich ringen. お前のために闘おう。
Den Tod verschlingt das Leben mein, わが生は死を食い尽くし、
mein Unschuld trägt die Sünden dein; わが無辜がお前の罪を担う。
da bist du selig worden. お前は至福の身となったのだ。
(『いまぞ喜べ、汝らキリストのともがらよ』
第7節、1523年)
Teil II: Motette "Herr, wenn ich nur
dich habe" SWV 280
第2部 モテット《主よ、あなたさえ私にあれば》
Chor I/II 2重合唱
Herr, wenn ich nur dich habe, 主よ、あなたさえ私にあれば、
so frage ich nichts nach Himmel und Erden. 天にも地にも、私の尋ね求めるものはない。
Wenn mir gleich Leib und Seele verschmacht', わがからだと魂が衰えようとも、
so bist du doch, Gott, 神よ、あなたは
allezeit meines Herzen Trost und mein Teil. いつもわが心の慰め、私の一部分なのです。
(詩篇 73:25-26)
Teil III: Canticum Simeonis SWV 281 第3部 シメオンのカンティクム
Intonatio 先唱
Herr, nun lässest du deinen Diener 主よ、今こそあなたはこのしもべを
Chor I 合唱 I
in Frieden fahren, wie du gesagt hast; 安らかに去らせて下さいます、御言葉の通りに。
denn meine Augen 私の目が、
haben deinen Heiland gesehen, あなたの下された救い主を見たのですから。
welchen du bereitet hast vor allen Völkern, 救い主はあなたが万民のためにお備えになったもので、
ein Licht, zu erleuchten die Heiden, 異邦人を照らし出す光、
und zum Preis deines Volks Israel. 御民イスラエルの栄光なのです。
(ルカによる福音書 2:29-32)
Chor II (Seraphim 2, Beata anima) 合唱 II(2人の天使と幸いなる魂)
Selig sind die Toten, 主にあって死にゆく者は
die in dem Herren sterben, 幸いなるかな。
sie ruhen von ihrer Arbeit, 彼らはその労苦を解かれて休み、
und ihre Werke folgen ihnen nach. そのわざは彼らの業は報われる。
Sie sind in der Hand des Herren, 彼らは主の御手にあり、
und keine Qual rühret sie. どんな責め苦も、彼らに届くことはない。
(ヨハネの黙示録14:13からの抜粋と知恵の書3:1の自由な短縮)
[礒山 雅  訳]