第14回定期演奏会《合唱二都物語》2000.11.23 ノバホール

【演奏者】
指揮 鈴木優 / ソプラノ 山内房子 / テノール 大島博 / バス 山崎岩男 / コンサート・ミストレス  神戸愉樹美 / 合奏 つくば古典音楽合奏団 (第1ヴァイオリン 神戸愉樹美,保科由貴 ; 第2ヴァイオリン 松永綾子,宮崎容子 ; ヴィオラ 山廣みほ ; チェロ 成田陽子 ; コントラバス 田中洪至 ; オルガン 渡部聡) / オルガン 渡部聡 / 合唱 つくば古典音楽合唱団


【プログラムと演奏録音】
anon. 作曲者不詳
Tokkata (Die Lüneburger
Orgeltabulatur Nr.3)
トッカータ(リューネブルグオルガン
タブラチュアより)
14-01.mp3 :3.1MB
Heinrich Schütz (1585-1672) シュッツ
"Das ist je gewißlich wahr",
SWV388
「この言葉は確かに真実である」 14-02.mp3 :4.6MB
Johann Sebastian Bach (1685-1750) バッハ
Andante (von Sonate d-moll
BWV964)
アンダンテ(ソナタ ニ短調
BWV964より)
14-03.mp3 :3.2MB
Johann Sebastian Bach (1685-1750) バッハ
"Singet dem Herrn ein neues Lied",
BWV225
「主に向かって新しい歌をうたえ」 14-04.mp3 :4.4MB
14-05.mp3 :4.3MB
14-06.mp3 :1.5MB
14-07.mp3 :2.2MB
-休憩-
Franz Schubert (1797-1828) シューベルト
Deutsche Messe, D872 ドイツ・ミサ曲より
  Zum Eingang   入祭唱のために 14-08.mp3 :2.1MB
  Zum Gloria   グロリアのために 14-09.mp3 :2.4MB
  Zum Evangelium und Credo   福音朗読とクレドのために 14-10.mp3 :2.3MB
  Zum Sanctus   サンクトゥスのために 14-11.mp3 :2.5MB
  Zum Agnus Dei   アニュス・デイのために 14-12.mp3 :2.2MB
  Schluァgesang   閉祭の歌 14-13.mp3 :1.7MB
Franz Schubert (1797-1828) シューベルト
Missa in G, D167 ミサ曲ト長調
  Kyrie   キリエ 14-14.mp3 :3.2MB
  Gloria   グロリア 14-15.mp3 :2.8MB
  Credo   クレド 14-16.mp3 :4.1MB
  Sanctus   サンクトゥス 14-17.mp3 :1.3MB
  Benedictus   ベネディクトゥス 14-18.mp3 :3.9MB
  Agnus Dei   アニュス・デイ 14-19.mp3 :4.5MB

Encore: J. S. Bach, Choral: Jesus bleibet meine Freude, BWV147-10 14-20.mp3 :3.0MB
Encore: F. Schubert, Schlußgesang (Deutsche Messe, D872) 14-21.mp3 :1.6MB


【プログラムノート】

《合唱曲》 鈴木 優

例えば、日頃演奏会やCDでクラシック音楽を好んで聴かれる方や、自ら楽器を手にしたり、合唱や声楽を楽しまれる方であれば、ヨーロッパの地図を見ながら、過去の大音楽家が活躍した所や、現在有名な歌劇場やコンサート・ホールがある都市に思いをめぐらしたり、また実際にそういった都市を訪れる旅行を計画したりすることは、とても楽しいことでしょう。

あなたの「夢の音楽旅行」の目的地はどこでしょうか。

モーツァルト・ファンならザルツブルグ、ブルックナー無しには生きられない人はザンクト・フローリアン、イタリア・オペラ党ならミラノやローマなどなど切りがありませんね。

しかし大多数の人々にとって、ヨーロッパ第1の音楽都市はなんといってもウィーンでしょう。

本日のつくば古典音楽合唱団第14回定期演奏会では、今年没後250年にあたるJ.S.バッハがその後半生を過ごしたライプツィヒに関わりのあるモテットと、ウィーン生え抜きの音楽家シューベルトのミサ曲を演奏いたします。

*  *  *

「この言葉は確かに真実である」の作曲者ハインリッヒ・シュッツはバッハが生まれるちょうど100年前の1585年10月14日にライプツィヒの南方40kmにあるケストリッツという村に生まれました。

モーリッツ辺境伯に見出され、1598年にカッセルの宮廷礼拝堂歌手となり、1609年にサン・マルコ大聖堂のジョヴァンニ・ガブリエリに師事するためにヴェネツィアへ留学します。

帰国後、1613年にカッセルで宮廷オルガニストを勤めた後、1617年にドレスデンの宮廷楽長となり、以後1672年11月6日に亡くなるまで、この地で生涯を送りました。

本日演奏いたしますモテットは1648年にドレスデンで出版され、ライプツィヒの市参事会に献呈された「宗教合唱曲集(Geistliche Chormusik)」に収録されています。

この曲集には29曲のモテットが収められていますが、その対位法書法やドイツ語の朗唱法のすばらしさ、そして極めて深い精神性を感じさせることなど、水準の高い作品ぞろいのシュッツの音楽の中でも、最高の傑作が集められた曲集であると思います。

この曲集の献辞にはトマス教会合唱団、そして惜しまれて世を去った楽長ヨハン・ヘルマン・シャインへの讃辞が印されています。

「この言葉は確かに真実である」は6声部の合唱のために書かれ、新約聖書テモテへの第1の手紙、第1章15―17をテキストとする顕現祭のためのモテットです。

シュッツの時代のドイツを語る上で、忘れることができないのは「30年戦争」です。

1618年から1648年にわたるこの戦争でドイツの人口の3分の1が亡くなったといわれています。

ライプツィヒも荒廃し、その人口は1万4000人ほどに減少しました。しかしその後の復興はめざましく、1753年にその人口は3万2384人に達します。

本来ライプツィヒは交易の要所であり、国際的な商業都市でした。特に年3回開催される見本市は非常に有名でした。今日でもなお出版物の見本市は良く知られています。

そのようなライプツィヒにJ.S.バッハは1723年にトマス・カントルとしてやって来ます。

*  *  *

ヨハン・セバスティアン・バッハは1685年3月21日にアイゼナッハで音楽家の家族に生まれます。18歳の年1703年にアルンシュタット、1707年にはミュールハウゼンのオルガニストとなります。この間1705年10月より16週間にわたり北ドイツのリューベックに滞在します。

当地にてブクステフーデのオルガン演奏や「夕べの音楽」と呼ばれた教会音楽会を聴くのが目的でした。

その後1708~17年はワイマールの宮廷オルガニストを勤めます。この時代にも多くの魅力的なカンタータを作曲しています。

続いて1717~23年はライプツィヒ北西50kmにある城下町ケーテンの宮廷楽長となります。

ケーテンの領主レオポルト候は、音楽を好み、バッハも幸福な日々を送ったと言われています。この時期には「ブランデンブルグ協奏曲」を始めとし、多くの器楽曲の名品が作曲されました。しかしこの幸福な日々もレオポルト候の2度目の候妃が音楽嫌いであったために、バッハは外に就職先を求めることとなり、終止符が打たれます。

そして1723年にトマス教会カントル兼ライプツィヒ市音楽監督となります。この仕事は市内4つの主要教会に教会音楽を提供し、しかも教会付属の寄宿制学校の生徒を指導するという激務でした。

バッハはこの地位を全うし、1750年7月28日に亡くなりました。

モテット第1番「主に向かって新しい歌をうたえ」BWV225は1726年から翌年にかけて作曲されました。バッハにとって各主日の礼拝のための教会カンタータの作曲は日常の職務上の義務でした。それに対して、今日世俗カンタータと分類されるものは、主に何らかの祝賀行事、そしてモテットは主に葬儀や追悼式といった特別の機会に依頼を受けての作曲でした。バッハにとっては臨時収入を得る良い機会だったようです。

今日バッハのモテットは6曲が知られています。この第1番がどのような機会のために作曲されたかは不明ですが、その明るく歓喜に満ちた曲想からは、葬儀のための音楽とは考えられません。現在では、おそらく新年か誕生祝賀会のための曲であろうという意見が有力です。

この曲は2つの四声部の合唱による二重合唱の編成で作曲され、極めて高度な声楽書法が用いられた、演奏もとても難しいものです。

第1、3、4部では、あふれんばかりの歓喜が歌われ、第2部では対照的にバッハの感情が直接に感じられるような内省的な音楽となっています。

1789年4月にライプツィヒを訪れたモーツァルトが、このモテットを聴き、その楽譜を見て「自分はこのような音楽を求めているのだ。」と感嘆の声を発した、というエピソードが伝えられています。

*  *  *

ハプスブルク家の帝国の首都ウィーンは17世紀末にはすでに音楽の中心地と目されていました。

そして18世紀後半のいわゆる「ウィーン古典派」から19世紀ロマン派の時代を経て今日に至るまで、ウィーンはヨーロッパの指導的な音楽都市としての栄誉を担うこととなります。

今日と同じように、才能のある人間が各地からこの宮廷を中心とした大都市に、職を求めて集まり、ウィーンの音楽文化が開花しました。ですからウィーンを代表する大音楽家でウィーン出身者はむしろ少数派です。

例えばモーツァルトはザルツブルクから来ました。ベートーヴェンはライン川沿いのボン、ブラームスは北ドイツのハンブルグ、ブルックナーはリンツ近郊のアンスフェルデン、マーラーはボヘミアのカーリシュトに生まれています。

ウィーンで生まれた有名な作曲家は、むしろ新ウィーン楽派の3人、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルン、そして何といってもフランツ・シューベルトです。

フランツ・シューベルトは1797年1月31日に生まれます。生家はウィーン市ヌスドルファー通り54番地にあり、現在はシューベルト博物館になっており、路面電車で簡単に訪れることができます。

1808年ウィーン宮廷礼拝堂の少年聖歌隊員(今日のウィーン少年合唱団)となり、5年間コンヴィクトと呼ばれる寄宿制神学校で生活します。この間オルガンやピアノのレッスン、そして宮廷楽長サリエリから対位法や通奏低音の指導を受けます。

1813年変声期を迎えコンヴィクトを退学し、生活のため父の学校の助教師を3年間勤めます。シューベルトがその生涯で定職についたのはこの時期だけで、その後は作曲に専念するボヘミアン的な生活に入ります。

17歳の年1814年には、ゲーテの詩による「糸を紡ぐグレートヒェン」が作曲されます。この歌曲によって「ドイツ・リート」というジャンルが生み出されたと評価される名曲です。

翌年には更に「魔王」「野ばら」といった傑作が作られます。

その後シューベルトは31年間という、モーツァルトよりも短い人生の間に、約630曲の歌曲、8曲の交響曲をはじめとして、ピアノ独奏・連弾曲、室内楽曲、教会音楽、決して成功しなかったオペラなど、広い分野にわたって約1、000曲の音楽を残しました。

しかしそれらの曲のうち、シューベルトの生前に出版されたのは約15%であり、大多数の、特に大曲は没後ようやく出版されました。

1828年11月19日にシューベルトは亡くなります。死因は最終的には腸チフスでしたが、かねてより煩っていた慢性的梅毒がシューベルトの肉体から抵抗力を奪っていたことは間違いありません。

シューベルトの天上的でありながら身近で、しかも考えるだけで胸が熱くなるような「なつかしさ」を感じさせる、あまりに私たちにとって美しすぎる音楽に説明を加えることは、ここではあまり意味がないでしょう。

かわりに過去のシューベルティアンやシューベルト自身の言葉をいくつか紹介しておきます。

シャガールはメトロポリタン・オペラで「魔笛」の舞台美術を担当した際に「モーツァルトは天才です、しかしシューベルトは奇蹟です。」と語りました。

またシューマンはハ長調交響曲(俗にザ・グレイトと呼ばれる)を「この交響曲にはただの美しい歌だとか、今までに音楽が何百回となく表してきた、ありふれた喜怒哀楽を超えるものが秘められていて、聴く人をある国にさそってゆく。今までに行ったことがあるとはどうしても思い出せないような国へ――。」と論評しています。

シューベルトの19歳の日記でモーツァルトを聴いた印象を読むことができます。「こうして心に押された美しい刻印は、われわれにいつまでも恵みをおよぼすのだ。こうして、この世の闇に明るく澄みきった美しい『彼方』が開かれる。僕たちはそこに希望を託すのだ。」

この言葉はそのままシューベルトの音楽そのものをも言い表わしています。

またシューベルトは、しばしば友人たちに「いったい本当に陽気な音楽というものがあるだろうか。僕は一つも知らない。」と語っています。これはシューベルトを理解する上でとても重要なキー・ワードだと思います。

1830年に友人たちが建てた墓碑には「音芸術は豊かな財宝を、否、はるかに美しい希望の数々を、ここに埋めた。」という碑文が刻まれました。

*  *  *

「ドイツ・ミサ曲D872」は1826年、29歳の年に作曲されました。これは「冬の旅」の作曲の前年です。このドイツ語によるテキストの作者ヨハン・フィリップ・ノイマンは本業は工業研究所物理学教授でした。ノイマンは教会音楽平明化運動の信奉者であり、この運動の一環としてシューベルトにドイツ語によるミサ曲の作曲を依頼したのでした。

全曲はカトリックのミサに対応する8曲と付録の「主の祈り」から成ります。本日は第4曲「奉献唱」、第6曲「聖変化の後に」、「主の祈り」を省略した6曲を演奏いたします。

各曲は有節リートに器楽の後奏が付くという形式になっています。旋律は民謡の調べを持つ親しみ易いものです。

尚この曲は本来合唱と管楽器の合奏のために作曲されましたが、本日は器楽のパートを弦楽合奏で演奏いたします。

シューベルトは生涯に6曲のラテン語によるミサ曲を作曲します。本日のプログラムの最後に置かれた「ミサ曲ト長調D167」は2番目のミサ曲で1815年、シューベルト18歳の作品です。

この年シューベルトは、「魔王」「野ばら」を含め、歌曲だけで145曲を作曲したというように、非常に創作意欲が高まっており、このミサ曲も3月2日~7日のわずか6日間で書き上げられました。

このミサ曲は四部合唱と弦楽合奏、オルガン、3人のソリストという編成であり、カトリック・ミサ曲の定型であるキリエ、グロリア、クレド、サンクトゥス、ベネディクトゥス、アニュス・デイの6章から成っています。

初演はシューベルトが洗礼を受けたリヒテンタール教区教会で行われ好評を得たと伝えられています。

このミサ曲は今日でも、オーストリアや南ドイツのあらゆる規模の聖歌隊の、重要な実用的レパートリーとなっており、オーケストラの使用が可能な大きな主日のミサで良く演奏されます。



《オルガン曲》 渡部 聡

トッカータ

北ドイツ、リューネブルク市の市立図書館に所蔵されているKN208(通称リューネブルク・オルガンタブラチュア)という写本は、1650年前後に作成されたもので、シャイデマンとその周辺の作曲家の作品(シャイデマンの師、スウェーリンクのスタイルによる前奏曲、トッカータ、コラール編曲等)が収められています。この写本は、当時一般的であったドイツ式オルガンタブラチュア(五線を使わずアルファベットで音を表す記譜法)で書かれています。この中から、第3曲目のトッカータを演奏します。

アンダンテ

バッハは自作の曲を別の演奏形態のために編曲するということをしばしば行いました。この鍵盤独奏のためのソナタは、有名な無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番イ短調BWV1003の編曲です。本日はその中から第3楽章のアンダンテを演奏します。


【歌詞対訳】

Heinrich Schütz シュッツ
"Das ist je gewißlich wahr" 「この言葉は確かに真実である」
Das ist je gewißlich wahr これは確かに真実であり
und ein teuer wertes Wort そしてかけがえのない貴重なことばである。
daß Christus Jesus kommen ist in die Welt キリスト・イエスがこの世にお生まれになった、
die Sünder selig zu machen 罪びとたちを浄めるために。
unter welchen ich der fürnehmste bin. 私はその罪びとたちの中でも、もっとも重い者である。

Aber darum ist mir Barmherzigkeit widerfahren しかし、それに対して、私には慈悲が与えられた、
auf daß an mir fürnehmlich Jesus Christus イエス・キリストが、私に特別に
erzeigete alle Geduld あらゆる寛容を示してくださるという形で、
zum Exempel denen 永遠の生命のために、キリストを信ずべき人々にとっての
die an ihn glauben sollen zum ewigen Leben. 模範とするために。

Gott dem ewigen Könige 神、永遠の王、
dem Unvergänglichen 不滅なる者、
und Unsichtbaren und allein Weisen そして不可視なる者にして、純粋なる本質である者に、
sei Ehre und Preis in Ewigkeit 栄光と、賛美とが、永遠にあるように、
Amen. アーメン。

Johann Sebastian Bach バッハ
"Singet dem Herrn ein neues Lied" 「主に向かって新しい歌をうたえ」
1. Chor (I/II) 1. 合唱(I/II)
Singet dem Herrn ein neues Lied; 主に向かって新しい歌をうたえ。
die Gemeine der Heiligen sollen ihn loben. 聖なる人々の集団は、主を称えるべし。
Israel freue sich des, der ihn gemacht hat. イスラエルびとは、彼らを創りたまいし方のことを喜べ。
Die Kinder Zion sei'n fröhlich über ihrem Könige. シオンの子達は、彼らの王に歓喜せよ。
sie sollen loben seinen Namen im Reihen; 彼らは輪になって主の名を称えるべし;
mit Pauken und mit Harfen sollen sie ihm spielen. 彼らは太鼓と竪琴によって主に音楽を奏すべし。

2. Choral (II) und Arie (I) 2. コラール(II)とアリア(I)
Wie sich ein Vater erbarmet あたかも父親が、
über seine junge Kinderlein, 彼の小さな子供を慈しむように、
so tut der Herr uns allen, そのように主は私たちみなを慈しんで下さる。
so wir ihn kindlich f殲chten rein. そうして、私たちは主を子供のように ひたすら畏れる。
Er kennt das arm Gem劃hte, 主は、弱い被造物のことをわかっておられる。
Gott weiァ, wir sind nur Staub, 神は、われわれが塵に過ぎないことを知っ ておられる。
gleichwie das Gras vom Rechen, 熊手でかき集められた草のような存在であ ることを。
ein Blum und fallend Laub. はかない花や、落ち葉のような存在であること を。
Der Wind nur dr歟er wehet, 風がその上を吹くだけで、
so ist es nicht mehr da, それは、もはやそこにはない。
also der Mensch vergehet, そのようにして、人は消えてゆくのだ。
sein End das ist ihm nah. 死は、人間にとって遠い先のことではない。

Gott, nimm dich ferner unser an, 神よ、私たちをいつまでも受け入れて下 さい。
denn ohne dich ist nichts getan なぜならば、あなたなしでは、何も実現 されないのだから、
mit allen unsern Sachen. 私たちの事柄のすべては。
Drum sei du unser Schirm und Licht, それゆえ、あなたは私たちの傘とな り、光となって下さい、
und tr殀t uns unsre Hoffnung nicht, そして、私たちの希望を欺かないで 下さい。
so wirst duユs ferner machen. あなたは,いつまでも、そうなさって下さる でしょう。
Wohl dem, der sich nur steif und fest    頑ななまでに堅固に
auf dich und deine Huld verl刊t. あなたとあなたの恩寵を信じるものは幸 いです。

3. Chor (I/II) 3. 合唱(I/II)
Lobet den Herrn in seinen Taten, 主の御業を称えよう。
lobet ihn in seiner groァen Herrlichkeit! 主の偉大なる栄光を称えよう!

4. Chor (I/II) 4. 合唱(I/II)
Alles, was Odem hat, lobe den Herrn, いきとし生けるものは、あまねく、主を称えよ、
halleluja! ハレルヤ!

Franz Schubert シューベルト
Deutsche Messe ドイツ・ミサ曲
Zum Eingang 入祭唱のために
wohin soll ich mich wenden, 私はどこに向かえばよいのだろうか、
wenn Gram und Schmerz mich dr歡ken? 悲しみと苦しみとが私を押しつぶそうとする時。
Wem k殤dユ ich mein Entz殘ken, 私は誰に私の熱い思いを告げればよいのだろうか、
wenn freudig pocht mein Herz? 私の心が喜びに高鳴る時。
Zu dir, zu dir, o Vater, あなたのもとに、あなたのもとに、おお父なる神よ、
kommユ ich in Freudユ und Leiden, 私は嬉しい時も苦しい時も赴きます。
du sendest ja die Freuden, あなたこそが喜びを下さり、
du heilest jeden Schmerz. あなたがあらゆる苦しみを癒して下さるのだから。

Ach, wenn ich dich nicht h閣te, ああ、私にあなたがおられなかったとしたら、
was w較ユ mir Erdユ und Himmel? 地上と天国が、私にとって何になるでしょう?
Ein Bannort jede St閣te あらゆる場所が囲い込まれたところとなり、
ich selbst in Zufalls Hand. 私自身は偶然に身を委ねるだけです。
Du bistユs, der meinen Wegen あなたこそは、私のために、
ein sichユres Ziel verleihet, たしかな目標を与えて下さり、
und Erdユ und Himmel weihet そして地上と天国とを浄め、
zu s洫em Heimatland. 心地よいふるさとにして下さる。

Zum Gloria グロリアのために
Ehre sei Gott in der H喇e! いと高きところにいます神に栄光あれ!
Singet der Himmlischen selige Schar. 天の聖なる軍勢は歌う。
Ehre sei Gott in der H喇e! いと高きところにいます神に栄光あれ!
Stammeln auch wir, die die Erde gebar. 地上に生まれた私たちもつぶやく。
Staunen nur kann ich und staunend mich freuユn; 私はただ驚き、そして驚きつつ喜び得るだけだが;
Vater der Welten! doch stimmユ ich mit ein: 世界の父なる神よ! それでも私は唱和します:
Ehre sei Gott in der H喇e! いと高きところにいます神に栄光あれ!
Ehre sei Gott in der H喇e! いと高きところにいます神に栄光あれ!
K殤det der Sterne strahlendes Heer. 光り輝く軍勢は、星々に告げる。
Ehre sei Gott in der H喇e! いと高きところにいます神に栄光あれ!
S隔seln die L歿te, brauset das Meer. 風は吹きすさび、海は立ち騒ぐ。
Feiernder Wesen unendlicher Chor 荘重にして不死なる合唱が、
jubelt im ewigen Danklied empor: 永遠の感謝の歌によって高く賛美する。
Ehre sei Gott in der H喇e! いと高きところにいます神に栄光あれ!

Zum Evangelium und Credo    福音朗読とクレドのために
Noch lag die Sch嗔fung formlos da, 世界はまだ形もなく、そこにあった。
nach heiligem Bericht; 聖書によれば;
da sprach der Herr: Es werde Licht! その時、主は言われた:「光あれ!」
Er sprachユs, und es ward Licht. 彼がそう言うと、光が生じた。
Und Leben regt, und reget sich, そして、いのちがうごめき、活動を始め、
und Ordnung tritt hervor. そして秩序が現れた。
Und 歟erall, all歟erall そして至る所、もう至る所に、
t嗜t Preis und Dank empor. 賛美と感謝とが高く響き渡った。
Verleihユ uns Kraft und Mut, daァ wir 私たちに力と勇気とをお与え下さい。そうして私たちが
nicht nur die Wege sehユn, 救い主が行かれた道を見失わないばかりか、
die der Erl嘖er ging, daァ wir 私たちが、
auch streben nachzugehユn. その道の後に従うよう努めることができますように。
Laァ so dein Evangelium そうしてあなたの福音によって
uns Himmels Botschaft sein, 私たちに、天の知らせをお告げ下さい。
und f殄rユ uns, Herr, durch deine Huld そして私たちを導いて下さい、主よ、あなたの恩寵に
inユs Reich der Wonnen ein. よって、幸せの王国の中へと。

Zum Sanctus サンクトゥスのために
Heilig, heilig, heilig, 聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、
heilig ist der Herr! 主は聖なるかな!
Heilig, heilig, heilig, 聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、
heilig ist nur er! 主のみが聖なるかな!
Er, der nie begonnen, 彼には始まりはなく、
Er, der immer war, 常にあったし、
ewig ist und waltet, 永遠にして、作用しつづけ、
sein wird immerdar. いつまでもここにあるであろう。
Heilig, heilig, heilig, 聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、
heilig ist der Herr! 主は聖なるかな!
Heilig, heilig, heilig, 聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、
heilig ist nur er! 主のみが聖なるかな!
Allmacht, Wunder, Liebe, 全能であり、奇跡であり、愛である存在!
alles rings umher! 全てをとりかこんでいる存在!
Heilig, heilig, heilig, 聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、
heilig ist der Herr! 主は聖なるかな!

Zum Agnus Dei アニュス・デイのために
Mein Heiland, Herr und Meister! わが救世主、主なる方、師よ!
Dein Mund so segenreich, あなたの口はとても祝福に満ちて、
sprach einst das Wort des Heiles: かつて癒しのことばを語られた:
"Der Friede sei mit Euch!" 「平安が、あなたたちと共にあるように!」
O Lamm, das opfernd tilgte おお、犠牲となって、人類の重い罪を
der Menschheit schwere Schuld, 贖った神の子羊よ、
sendユ uns auch deinen Frieden 私たちにも、あなたの平安を送って下さい、
durch deine Gnadユ und Huld. あなたの恵みと恩寵とによって。

Mein Heiland, Herr und Meister, わが救世主、主なる方、師よ!
o sprich erbarmungsreich おお、憐れみに満ちて、
zu uns das Wort des Heiles: 私たちに、癒しのことばを語って下さい:
"Der Friede sei mit Euch!" 「平安が、あなたたちと共にあるように!」
Sendユ uns den Himmelsfrieden, 私たちに、天国の平安をお送り下さい、
den nie die Erde gibt, それはいまだかつて地上には存在しません。
der nur dem Herzen winket, その平安のみが、心を手招きします。
das rein und treu dich liebt! 純粋に、そして忠実にあなたを愛する心を。

Schluァgesang 閉祭の歌
Herr, du hast mein Flehユn vernommen, 主よ、あなたは私の願いを聞き入れて下さいました。
selig pochtユs in meiner Brust, 私の胸は、幸福に高鳴っています。
in die Welt hinaus, inユs Leben 此の世から出て、新しい生命の中へと、
folgt mir nun des Himmels Lust. 天国の悦びは、今や私につき従っています。

Dort auch bist ja du mir nahe, そこでもまた、あなたは確かに私の近くに
歟erall und jederzeit.至る所で、 常に、おられます。
Allerorten ist dein Tempel, 全ての場所は、あなたの神殿であり、
wo das Herz sich fromm Dir weiht. 心はそこで、あなたを敬虔に崇めるのです。

Segne, Herr, mich und die Meinen, 主よ、私と私に属するもの共を祝福して下さい。
segne unsern Lebensgang! 私たちの人生行路を祝福して下さい。
Alles unser Tun und Wirken 私たちの行ないと働きの全てが、
sei ein frommer Lobgesang. 敬虔なる讃歌でありますように。

Franz Schubert シューベルト
Missa in G, D167 ミサ曲ト長調
Kyrie キリエ
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Christe eleison. キリストよ、あわれみたまえ。
Christe eleison. キリストよ、あわれみたまえ。
Christe eleison. キリストよ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。

Gloria グロリア
Gloria in excelsis Deo. 天のいと高きところには神に栄光あれ。
Et in terra pax hominibus bonae voluntatis. 地には御心に適う人に平和あれ。
Laudamus te, われら主をほめ、
benedicimus te, 主をたたえ、
adoramus te, 主をおがみ、
glorificamus te. 主をあがめる。
Gratias agimus tibi 主の大いなる栄光のゆえに
propter magnam gloriam tuam. 感謝し奉る。
Domine Deus, 神なる主、
Rex coelestis, 天の王、
Deus Pater omnipotens. 全能の父なる主よ。
Domine Fili unigenite, 主なる御ひとり子、
Jesu Christe. イエス・キリストよ。
Domine Deus, 神なる主、
Agnus Dei, 神の子羊、
Filius Patris, 父の御子よ、
Qui tollis peccata mundi, 世の罪を除きたもう主よ、
miserere nobis. われらをあわれみたまえ。
Suscipe deprecationem nostram. われらの願いを聞き入れたまえ。
Quoniam tu solus Sanctus, 主のみ聖なり、
quoniam tu solus Altissimus, 主のみいと高し、
quoniam tu solus Dominus. 主のみ王なり。
Cum Sancto Spiritu, in gloria Dei Patris. 聖霊とともに、父なる神の栄光のうちに。
Amen.アーメン。

Credo クレド
Credo in unum Deum, われは信ず、唯一の神、
Patrem omnipotentem, 全能の父、
factorem coeli et terrae, 天と地、
visibilium omnium, et invisibilium. 見ゆるもの、見えざるものすべての造り主を。
In unum Dominum Jesum Christum, われは信ず、唯一の神、
Filium Dei unigenitum. 神の御ひとり子、イエス・キリストを。
Ex Patre natum ante omnia saecula. 主はよろず世のさきに、父より生まれり。
Deum de Deo, 神よりの神、
lumen de lumine, 光よりの光、
Deum verum de Deo vero. まことの神よりのまことの神。
Genitum, non factum, consubstantialem Patri: 造られずして生まれ、父と一体なり、
per quem omnia facta sunt. すべては主によりて造られたり。
Qui propter nos homines 主はわれら人類のため、
et nostram salutem descendit de coelis. またわれらの救いのために天よりくだれり。
Et incarnatus est de Spiritu Sancto 聖霊によりて、
ex Maria Virgine: おとめマリアより御からだを受け、
Et homo factus est. 人となりたまえり。
Crucifixus etiam pro nobis: ポンテオ・ピラトのもとにて、われらのために
sub Pontio Pilato passus 十字架につけられ、苦しみを受け、
et sepultus est. 葬られたまえり。
Et resurrexit tertia die, secundum Scripturas. 聖書にありしごとく、三日目によみがえり、
Et ascendit in coelum: 天にのぼりて、
sedet ad dexteram Patris. 父の右に座したもう。
Et iterum venturus est cum gloria, 主は栄光のうちに再び来たり、
judicare vivos et mortuos: 生ける人と死せる人とをさばきたもう
cujus regni non erit finis. 主の国は終わることなし。
Credo in Spiritum Sanctum, Dominum, われは信ず、主なる聖霊、
et vivificantem 生命の与え主を。
qui ex Patre et Filio procedit. 聖霊は父と子よりいで、
Qui cum Patre et Filio simul adoratur, 父と子とともに拝み
qui cum Patre et Filio conglorificatur: 父と子とともにあがめられ、
qui locutus est per Prophetas. また預言者によりて語りたまえり。
Confiteor unum baptisma われは死者の罪のゆるしのためなる
in remissionem peccatorum, mortuorum. 唯一の洗礼を認む。
Et vitam venturi saeculi. そして来世の生命を信ず。
Amen.アーメン。

Sanctus サンクトゥス
Sanctus, Sanctus, Sanctus, 聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、
Dominus Deus Sabaoth. 万軍の神なる主、
Pleni sunt coeli et terra gloria tua. 主の栄光は天地に満つ。
Osanna in excelsis. 天のいと高きところにホザンナ。

Benedictus ベネディクトゥス
Benedictus qui venit in nomine Domini. ほむべきかな、主の名によりて来る者。
Osanna in excelsis. 天のいと高きところにホザンナ。

Agnus Dei アニュス・デイ
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi: 神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、
miserere nobis. われらをあわれみたまえ。
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi: 神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、
miserere nobis. われらをあわれみたまえ。
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi: 神の子羊、世の罪を除きたもう主よ、
dona nobis pacem. われらに平安を与えたまえ。

(つくば古典音楽合唱団訳)