第17回定期演奏会《イタリア合唱音楽の系譜》2003.11.22 ノバホール

【演奏者】
指揮 鈴木優 / ソプラノ 山内房子 / ピアノ 中山ちあき / オルガン 渡部聡 / ヴィオラ・ダ・ガンバ 神戸愉樹美 / 合唱 つくば古典音楽合唱団


【プログラムと演奏録音】
Girolamo Frescobaldi (1583-1643) フレスコバルディ
Toccata prima (libro II) トッカータ第1番 17-1-01.mp3: 4.0MB
Anonymus (15 c.) 作曲者不詳
Alta Trinità beata 高き至福の三位一体よ 17-1-02.mp3: 1.3MB
Hieronimo Maffoni (16 c.) マッフォーニ
Quam pulchri sunt gressus tui そなたの足の何と美しいことか 17-1-03.mp3: 2.3MB
Sebastiano Festa (16 c.) フェスタ
Angele Dei 神の御使いよ 17-1-04.mp3: 2.8MB
Domenico Scarlatti (1685-1756) スカルラッティ
Sonata (Fuga) K.41 ソナタ(フーガ) 17-1-05.mp3: 4.4MB
Claudio Monteverdi (1567-1643) モンテヴェルディ
Laudate pueri しもべらよ、主を讃めたたえよ 17-1-06.mp3: 4.9MB
Gregorio Allegri (1582-1652) アレグリ
Miserere mei, Deus ミゼレーレ 17-1-07.mp3: 6.8MB
Bernardo Pasquini (1637-1710) パスクィーニ
Pastorale パストラーレ 17-1-08.mp3: 4.8MB
Giacomo Carissimi (1605-1674) カリッシミ
Nisi Dominus 主がお建てになるのでなければ 17-1-09.mp3: 3.2MB
Pietro Paolo Bencini (1675-1755) ベンチーニ
Jesu, Redemptor Omnium イエス、万民の救い 17-1-10.mp3: 6.7MB
-休憩-
Gioacchino Rossini (1792-1868) ロッシーニ
Petite Messe solennelle 「小荘厳ミサ曲」より
  Kyrie   キリエ 17-2-11.mp3: 5.2MB
  Cum Sancto Spiritu   主は聖霊とともに 17-2-12.mp3: 5.7MB
Giuseppe Verdi (1813-1901) ヴェルディ
4 Pezzi Sacri 「聖歌四篇」より
  Ave Maria   アヴェ・マリア 17-2-13.mp3: 4.0MB
  Stabat Mater   スタバト・マーテル 17-2-14.mp3: 10.5MB
 
Encore: Verdi ヴェルディ
Opera, Nabucco 歌劇『ナブッコ』より
  Va, pensiero, sull'ali dorate   往け、わが想いよ、金色の翼に乗って 17-2-15.mp3: 3.6MB
Encore: Anonymus 作曲者不詳
Alta Trinità beata 高き至福の三位一体よ 17-2-16.mp3: 1.3MB


【プログラムノート】

《合唱曲》 鈴木 優

本日のつくば古典音楽合唱団第17回定期演奏会では「イタリア合唱音楽の系譜」と題しまして、15世紀から19世紀にかけてのイタリア合唱作品を演奏いたします。

ルネサンスの時代以来イタリアは、美術、建築、文芸などあらゆる芸術の分野で中心的役割を果たしてきました。音楽におきましてもイタリアは「歌の国」と称され、オペラをはじめとし、声楽曲の分野で全ヨーロッパ中に強い影響を及ぼしました。またカトリック教会の総本山であるローマのバチカンを中心として、教会音楽にも豊かな伝統があります。

アルプス以北に住む人々にとって、イタリアは、その豊かに降り注ぐ太陽の光、地中海やアドリア海の美しい景色、古代ローマ時代以来の遺跡や建築物などにより、常に大きな憧憬の対象でした。自身の旅行記を『イタリア紀行』として残しているゲーテは、『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』という小説の中でミニヨンという少女に次のように歌わせています。

  ご存知ですか、あの国を、レモンの花が咲き、
  暗い葉陰に金色のオレンジが輝く国、
  そよ風が青い空から吹き、
  シルテが静かに、月桂樹が高くそびえる国、
  あの国をご存知ですか?
  あそこへ! あそこへ
  あなたとご一緒に、おお私の愛する方、行きたいです。

当合唱団の演奏曲目はこれまでドイツ・オーストリア系のレパートリーにかたよってきたのですが、本日はゲーテにも負けない、大いなるイタリアに対する憧れを胸に抱いて、その合唱曲を演奏したいと思います。

*  *  *

「高き至福の三位一体よ」は15世紀の、おそらくラウダとよばれる宗教歌の旋律によっています。本日歌います四声部合唱のための編曲は19世紀のドイツ人によるものです。この曲はなぜかドイツの合唱団がとても好んで歌うもので、「合唱名曲選」のような本によく収められています。

続く2曲の16世紀前半に作曲されたモテットは、デンマークの音楽学者クヌートゥ・イエッペセンによって1962年に校訂、出版された『知られざるイタリアの16世紀前半の大聖堂の音楽』という楽譜集から見つけました。

ソロモンの雅歌をテキストとする「そなたの足の何と美しいことか」の作曲者イエロニモ・マッフォーニに関しては、その兄弟かあるいは親類であるバティスタが1513年の生まれであること、そして当人が1548年にブレスチアという町ですでに18年間にわたってオルガニストとして活動していたという記録があるだけです。

また「神の御使いよ」の作曲者セバスティアノ・フェスタは「16世紀初頭の興味深いマドリガーレの作曲者である」と評価されていますが、生没年などは不明です。その生涯については1520年にモンドヴィの司教の下に仕官したということだけが知られています。

このように、今日ではほとんど名前の知られていない作曲家によるモテットですが、お聴きになれば、その音楽水準の高さに驚かれることでしょう。

「しもべらよ、主を讃めたたえよ」は1567年クレモナに生まれ、1643年にヴェネツィアで没した音楽史上最大級の巨匠のひとりクラウディオ・モンテヴェルディによるものです。

モンテヴェルディは当時「第一の作法」と呼ばれた伝統的なポリフォニーの技巧と「第二の作法」と呼ばれた、独唱、独奏、合唱、合奏が自由にかけ合いをする「協奏様式」という新旧二つのスタイルを自在に用いて、多くのマドリガーレや教会音楽を作曲しました。また当時生まれたばかりの「オペラ」というジャンルにおいても、21世紀に生きる私たちにも大きな感動を与えるすばらしい作品を残しています。

詩篇第112篇(ヴルガータ版。現行版では、第113篇)をテキストとする「しもべらよ、主を讃めたたえよ」は1651年に出版された遺作集に収められた5声部の合唱と通奏低音のためのモテットです。このモテットは保守的なポリフォニーの様式で作られていますが、次々とあらわれる変化に富んだ楽想の豊かさ、そして全体の構成の完璧さなど、モンテヴェルディの音楽の魅力を十二分に味わうことができる作品といえるでしょう。

曲にまつわるエピソードで有名な「ミゼレーレ」の作曲者グレゴリオ・アレグリは1582年ローマに生まれ、少年聖歌隊員となった後、去勢手術を受けカストラート歌手となり、1629年から亡くなる1652年まではローマ教皇の礼拝堂歌手でした。「ミゼレーレ」は当時、その美しさゆえ、ローマ教皇のシスティーナ礼拝堂だけで歌われる、門外不出の曲でした。しかし1770年ローマを訪れた14歳のモーツァルトがこの曲を聴き、宿に帰って楽譜に書き取ってしまったというエピソードが伝わっています。この曲のテキストは詩篇第50篇(第51篇)という少々長いものであり、音楽的には繰り返しが多いため本日の演奏では約1/3をカットいたします。このような神を畏れぬ所業をどうかお許し下さい。

詩篇第126篇(第127篇)をテキストとする五声部の合唱と通奏低音のためのモテット「主がお建てになるのでなければ」は、とりあえずジャコモ・カリッシミの作と伝えられておりますが確証はありません。この曲は1670年に成立したカリッシミの作品と考えられるものを集めた写本中に収められています。本日使います楽譜の校訂者も「この作品の音楽語法はカリッシミよりも、彼より若い世代の同時代のイタリアの作曲家のものに適合する」と述べています。ちなみにカリッシミは1604年ローマ近郊マリーノに生まれ、1674年ローマで没します。1629年からローマの聖アポリナーレ教会楽長を勤め、多くの教会音楽を作曲し、特にそのオラトリオで名を知られています。

前半の最後はソプラノ独唱、四声部の合唱、通奏低音によって、ピエトロ・パオロ・ベンチーニの「イエス、万民の救い」を演奏いたします。ベンチーニは1675年頃に生まれ、1755年に亡くなるまでローマで活動した教会音楽家です。この曲はクリスマスのための讃歌で、終始8分の12拍子のシチリアーノと呼ばれる舞曲のリズムが使われています。このリズムは羊飼いを連想させ、メサイアやコレッリのクリスマス協奏曲などにも使われています。ソプラノ独唱とホモフォニックな合唱が交互に愛すべきメロディーを歌い交わしていきます。

*  *  *

イタリア音楽にとっての19世紀は、オペラ一色に彩られた世紀であったと言っても過言ではないでしょう。本日のプログラムの後半ではイタリア・オペラの象徴である二人の巨匠の宗教音楽を演奏いたします。

ジョアッキーノ・ロッシーニは1792年ペーザロに生まれ、1868年にパリでその76年間の生涯を閉じました。ロッシーニは「アルジェのイタリア女」や「セビリアの理髪師」などのオペラ・ブッファ、「タンクレーディ」に代表されるオペラ・セリア、そしてグランド・オペラである「ウィリアム・テル」といったように、あらゆる様式のオペラでイタリア国内からウィーン、パリをはじめとしてヨーロッパ中を席巻しました。19世紀前半にロッシーニは間違いなくヨーロッパで最も人気のある作曲家でした。ロッシーニは、39曲のオペラを作曲しましたが、それらはすべて1810年から1829年の間に集中して書かれました。そして36歳から後の40年間は引退して年金生活者となり、新しいオペラを作ることはありませんでした。ロッシーニ自身は皮肉をこめて「私は怠けるという情熱の虜になってしまったのだ」と語ったと伝えられています。しかしながらロッシーニは、その後半生に二つの宗教音楽の大作を残します。一曲は1842年の「スタバト・マーテル」そして死の4年前に完成したのが、本日その一部を演奏する「小荘厳ミサ曲」です。

このミサ曲はロッシーニの友人の銀行家である貴族が、自宅内に建てた礼拝堂の献堂式のために作曲を依嘱しました。「小荘厳ミサ曲」と名付けられていますが、全曲を演奏すると70分を要する大曲です。本日は冒頭の「キリエ」と「グローリア」の終結部である「主は聖霊とともに」のフーガを演奏します。このフーガはドイツ系の作曲家の厳格なフーガとは別な性質の音楽ですが、ロッシーニの音楽のどのような点が、当時の聴衆を(そして今日の聴衆をも)熱狂させたかを雄弁に物語ってくれることでしょう。尚、この曲の伴奏は本来2台のピアノとハルモニウムのために書かれていますが、本日は1台のピアノとポジティフオルガンで演奏いたします。

*  *  *

19世紀最高のイタリアの作曲家といえば、だれでもジュゼッペ・ヴェルディの名前を思いうかべることでしょう。ヴェルディは1813年、パルマ公国のブッセート近郊のレ・ロンコンという村に生まれました。ヴェルディの人生のスタートは必ずしも順調なものではなく、希望したミラノの音楽院には入学することができませんでした。また私生活面でも1838年に娘を、そして翌年には息子をなくしました。さらに1840年には喜歌劇「一日だけの王様」を作曲中に、妻が病死するという不幸に見舞われました。このオペラは当然不評で、ヴェルディは失意の日々を送ることとなります。しかし、1842年に初演された「ナブッコ」は大きな成功を収め、ヴェルディは自分の様式を確立しました。この成功によってヴェルディは多くの作曲の依頼を受けることになり、多忙な創作活動をします。1850年代に入ると中期の傑作である「リゴレット」「トロヴァトーレ」「椿姫」が次々と完成します。この時期を回想してヴェルディは「『ナブッコ』以来、私にはいっときの休みもありません。16年間の苦役です」と語っています。この後「ドン・カルロ」「アイーダ」を作曲した後、70年代に入っても「レクイエム」、そしてシェークスピアによる「オテロ」に着手します。そして最後のオペラ「ファルスタッフ」を完成させたのは1893年のことでした。このようにヴェルディは50年以上に渡る長い創作期間に、改作を除くと27のオペラを書きました。すべてのオペラを書き終えた後、最後に作曲されたのが『聖歌四篇』です。この曲集は「アヴェ・マリア」「スタバト・マーテル」「聖母への賛歌」「テ・デウム」の四曲で構成されています。本日は前半の二曲を演奏いたします。

聖母祝詞による「アヴェ・マリア」は1889年に作曲された無伴奏の四声部のための合唱曲です。この曲では「謎の音階」と呼ばれる、C・Des・E・Fis・Gis・Ais・H・Cという上行形とC・H・Ais・Gis・F・E・Des・Cという下行形の音階を定旋律として作曲されています。十字架にかけられたイエスの下で悲しむマリアによせる祈りである「スタバト・マーテル」は1898年に完成しました。その前年に妻ジュゼッピーナを亡くしたヴェルディの生涯最後の作品です。本来は大規模なオーケストラと混声合唱のための作品ですが、本日はピアノ伴奏によって演奏いたします。そして、その3年後ヴェルディはミラノで脳卒中に倒れ1901年1月27日に亡くなりました。ミラノ全市が喪に服し、盛大な葬儀がおこなわれました。

このように奇しくも、オペラによって最高の名声を手に入れた2人の巨匠が、すべてのオペラの創作を終えた後に、生涯最後の作品として宗教音楽を書き残したということは非常に興味深いことであると思います。二人の巨匠の最高に円熟した作曲技法の境地、そして、おそらく死を意識したであろう老境にあっての宗教的精神の産物であるこれらの音楽を、今夜聴衆の皆様と共に味わってみたいと考えます。



《オルガン曲》 渡部 聡

本日は、イタリア・バロックの初期、中期、後期をそれぞれ代表する鍵盤音楽作曲家3人の作品を集めました。

フレスコバルディはローマのサンピエトロ大聖堂のオルガニストを勤め、鍵盤のヴィルトゥオーゾとして名声を博しました。特に即興的でファンタスティックなトッカータの様式を確立し、その後のイタリアのみならずヨーロッパ全体の鍵盤音楽に大きな影響を残しました。

ドメニコ・スカルラッティはバッハ、ヘンデルと同年生まれですが、ポルトガル王女(のちのスペイン王妃)の音楽教師、チェンバロ奏者として活躍し、500曲以上の鍵盤ソナタを残しています。その大半はチェンバロのためのものですが、いくつかのソナタにはオルガンで演奏するための指示があり、また、オルガンで弾いても効果的である曲も少なくありません。このソナタ K.41 は二重フーガの形式をとっています。

パスクィーニはフレスコバルディとスカルラッティのちょうど中間の世代を代表する作曲家です。ローマを中心に活躍し、オペラ、オラトリオの他に多くの鍵盤曲を作曲しています。ヴァイオリン音楽におけるコレッリと同様、初期・中期バロックの様式を集大成して後期バロックの手本となってゆく重要な足跡を残しました。パストラーレはクリスマスに奏される、羊飼いの民族楽器のスタイルを模した楽曲です。

使用楽器は、草苅徹夫1993年作のポジティフオルガンです。小さな本体の中に 8' 4' 2' の3列、約150本のパイプが収められ、椅子の中にある送風機からダクトで風を送っています。


【歌詞対訳】

Anonymus 作曲者不詳
Alta Trinità beata 高き至福の三位一体よ
Alta Trinità beata, 高き至福の三位一体よ、
da noi sempre adorata. 我らの常に尊ぶところ。
Trinità gloriosa unità maravigliosa. 栄光の三位一体、不可思議なる一致。
Tu sei manna saporosa e tutta desiderosa. 汝は美味なるマンナにして、全ての望みなり。
 
H. Maffoni マッフォーニ
Quam pulchri sunt gressus tui そなたの足の何と美しいことか
Quam pulchri sunt gressus tui, そなたの足の何と美しいことか。
filia principis! 気高きおとめよ!
Collum tuum sicut turris eburnea. そなたの首は象牙の塔の如くなり。
Oculi tui divini, そなたのまなこは神々しく、
et comae capitis tui sicut purpura regis. また、そなたの頭髪は高貴なる王の紫の如し。
Quam pulchra es, そなたは何と美しく、
et quam decora carissima. また、何と気高く愛らしいことか。
Alleluja! アレルヤ!
 
S. Festa フェスタ
Angele Dei 神の御使いよ
Angele Dei, qui custos es mei, 神の御使い、わが守護者よ。
me tibi commissum pietate superna. 神の至高の慈愛によりわれは汝に委ねらる。
hodie salva me et guberna. 今日われを救い、みちびきたまえ。
 
C. Monteverdi モンテヴェルディ
Laudate pueri しもべらよ、主を讃めたたえよ
Laudate pueri Dominum, 主のしもべたちよ、ほめたたえよ。
Laudate nomen Domini, 主の御名をほめたたえよ。
Sit nomen Domini benedictum 主の御名はほむべきかな、
ex hoc nunc et usque in saeculum. 今より、とこしえに至るまで、
A solis ortu usque ad occasum, 日の出ずるところより、日の入るとこまで、
Laudabile nomen Domini. 主の御名はほめたたえられる。
Excelsus super omnes gentes Dominus, 主はもろもろの国民の上に高くいらせられ、
et super Caelos gloria eius. その栄光は天よりも高い。
Quis sicut Dominus Deus noster, われらの神、主にくらぶべき者は誰か、
qui in altis habitat, 主は高きところに座し、
et humilia respicit in caelo et in terra 遠く天と地とを見おろされる。
Suscitans a terra inopem, 主は貧しい者を塵からあげて
et de stercore erigens pauperem: 乏しい者を糞土からあげて、
ut collocet eum cum principibus populi sui. もろもろの民の君たちとともに座らせられる。
Qui habitare facit sterilem in domo, また子を産まぬ女に家庭を与え、
matrem filiorum laetantem. 多くの子供たちの喜ばしい母とされる。
Gloria Patri et Filio et Spiritui Sancto. 父と子と聖霊に御栄えあれ、
Sicut erat in principio et nunc et semper はじめにあったごとく、今も、いつも、
et in saecula saeculorum. 世々に限りなく。
Amen. アーメン。
(以上、つくば古典音楽合唱団訳)
 
G. Allegri アレグリ
Miserere mei, Deus ミゼレーレ
Miserere mei, Deus, secundum magnam 神よ、わたしを憐れんでください。
misericordiam tuam. 御慈しみをもって。
Et secundum multitudinem 深い御憐れみをもって
miserationum tuarum dele iniquitatem meam 背きの罪をぬぐってください。
Amplius lava me ab iniquitate mea, わたしの咎をことごとく洗い
et a peccato meo munda me: 罪から清めてください。
Quoniam iniquitatem meam ego cognos co: あなたに背いたことをわたしは知っています。
et peccatum meum contra me est semper. わたしの罪は常にわたしの前に置かれています。
‥‥‥ (一部演奏を省略)
Redde mihi laetitiam salutaris tui: 御救いの喜びを再びわたしに味わわせ
et spiritu principali confirma me. 自由の霊によって支えてください。
Docebo iniquos vias tuas: わたしはあなたの道を教えます
et impii ad te convertentur あなたに背いている者に罪人が御もとに立ち帰るように。
Libera me de sanguinibus, 神よ、わたしの救いの神よ
Deus, Deus salutis meae: 流血の災いからわたしを救い出してください。
et exultabit lingua mea justitiam tuam. 恵みの御業をこの舌は喜び歌います。
Domine labia mea aperies: 主よ、わたしの唇を開いてください
et os meum annuntiabit laudem tuam. この口はあなたの賛美を歌います。
Quoniam si voluisses sacrificium もしいけにえがあなたに喜ばれ
dedise utique: 焼き尽くす捧げ物が御旨にかなうのなら
holocaustis non delectaberis. わたしはそれをささげます。
Sacrificium Deo spiritus contribulatus: しかし、神の求めるいけにえは打ち砕かれた霊。
cor contritum et humiliatum Deus 打ち砕かれ悔いる心を
non despicies. 神よ、あなたは侮られません。
Benigne fac Domine in bona voluntate tua Sion: 御旨のままにシオンを恵み
ut aedificentur muri Jerusalem. エルサレムの城壁を築いてください。
Tunc acceptabis sacrificium justitiae, そのときには、正しいいけにえも
oblationes et holocausta. 焼き尽くす完全な捧げ物も、あなたに喜ばれ
Tunc imponent super altare tuum vitulos. そのときには、あなたの祭壇に雄牛がささげられるでしょう。
(訳:『聖書 新共同訳』日本聖書協会)
 
G. Carissimi カリッシミ
Nisi Dominus 主がお建てになるのでなければ
Nisi Dominus edificaverit domum, 主が家をお建てになるのでなければ、
in vanum laboraverunt qui edificant eum. 建てる者の働きはむなしい。
Nisi Dominus custodierit civitatem, 主が都を衛られるのでなければ、
frustra vigilat qui custodit eam. 衛る兵士の 寝ずの番はむなしい。
Vanum est vobis ante lucem surgere あなたがたが 夜明けに目覚め、遅くまで起きながら、
surgite postquam sederitis, 辛苦の糧を食することはむなしい。
qui manducatis panem doloris. 主が愛する者に眠りを与えてくださるのだから。
Cum dederit dilectis suis somnum: 見よ、子供は主の賜物である。
ecce hereditas Domini filii, 胎の実はお恵みである。
merces, fructus ventris. 若い時の子らは
Sicut sagittae in manu potentis, 勇士の手にある矢のようである。
ita filii excussorum. 矢の満ちた矢筒を持つものは幸いである。
Beatus vir qui implevit desiderium suum ex ipsis, その者は門で敵にもの言う時にも、
non confundetur cum loquetur inimicis suis in porta. 恥じ入ることがない。
Gloria Patri et Filio et Spiritui Sancto. 父と子と聖霊とに栄光あれ。
Sicut erat in principio 始めにありしごとく、
et nunc et semper et in saecula saeculorum. 代々にかわることなく。
Amen. アーメン。
 
P.P. Bencini ベンチーニ
Jesu, Redemptor Omnium イエス、万民の救い
Jesu, Redemptor omnium, イエス、万民の救い、
quem lucis ante originem, この世に光現われる前に、
parem Paternae gloriae, 天にまします御父は御身をなせり、
Pater supremus edidit. その栄光は神と等しき。
Tu lumen, et splendor Patris, 主、御父の光と輝き、
tu spes perennis omnium, すべての世の永遠の希望、
intende quas fundunt preces tui 御身に寄せる汝がしもべの
per orbem servuli. 切なる祈りに耳を傾けたまえ.
Memento, rerum Conditor, この世の創造主、
nostri quod olim corporis, 処女の清き御胎内より生まれたまいしこの時に、
sacrata ab alvo Virginis, われらと等しく人となられた事を
nascendo, formam sumpseris. 思いおこしたまえ.
Testatur hoc praesens dies, 年々かえり来る今日この日が明かさん、
currens per anni circulum, 御身、御父の御ひとり子が
quod solus e sinu Patris 世の救いとなるため
mundi salus adveneris. 来たりたる事を。
Hunc astra, tellus, aequora, 天と地と海原、
hunc omne, quod coelo subest, 天の下なる物すべて、
salutis Auctorem novae, 新しき歌もてわれらが救い主を
novo salutat cantico. ほめたたえん。
Et nos, beata quos sacri われら聖なる御血潮による
rigavit unda sanguinis, 恵みを賜り、
natalis ob diem tui 生まれたまいしこの日を
hymni tributum solvimus. 感謝の歌もてほめたたえん。
Jesu, tibi sit gloria, 清き処女より生まれたまいし、
qui natus es de Virgine, 主、イエス、御身をほめたたえん、
cum Patre, et almo Spiritu, 父なる神と聖霊によりて、
in sempiterna saecula. 今も代々にいたるまで。
Amen. アーメン。
 
G. Rossini ロッシーニ
Petite Messe solennelle 「小荘厳ミサ曲」より
Kyrie キリエ
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Christe eleison. キリストよ、あわれみたまえ。
Christe eleison. キリストよ、あわれみたまえ。
Christe eleison. キリストよ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よ、あわれみたまえ。
 
Cum Sancto Spiritu 主は聖霊とともに
Cum Sancto Spiritu, 聖霊とともに、
in Gloria Dei Patris. 父なる神の栄光のうちに。
Amen. アーメン。
Gloria in excelsis Deo. 天のいと高きところには神に栄光あれ。
Amen. アーメン。
 
G. Verdi ヴェルディ
4 Pezzi Sacri 「聖歌四篇」より
Ave Maria アヴェ・マリア
Ave Maria gratia plena, Dominus tecum, めでたし恩寵満てるマリア、主は汝とともにいます。
benedicta tu in mulieribus 女たちの中で、汝は祝福されたるもの、
et benedictus fructus ventris tui, Jesus. そして汝の胎内の果実、イエスもまた祝福されたるもの。
Sancta Maria, Mater Dei, 聖なるマリアよ、神の御母よ、
ora pro nobis peccatoribus, 祈りたまえ、我ら罪人のために、
nunc et in hora mortis nostrae, 今とわれらの死の時にあたりて。
Amen. アーメン。
(以上、つくば古典音楽合唱団訳)
 
Stabat Mater スタバト・マーテル
Stabat Mater dolorosa 悲しみの聖母は、
Juxta crucem lacrymosa, 涙にむせびながら、御子のかけられた
Dum pendebat Filius. 十字架のもとに立っておられた。
Cujus animam gementem 嘆き、憂い、
Contristatam et dolentem 悲しむその魂は、
Pertransivit gladius. 鋭い剣で刺し貫かれた。
O quam tristis et afflicta おお何という悲しみと痛みよ、
Fuit illa benedicta, 神のひとり子の、
Mater Unigeniti! この、尊い母は!
Quae maerebat et dolebat 貴い子の苦しみを
Pia Mater, dum videbat 見た慈愛の母は、
Nati poenas inclyti. 悲しみと嘆きにくれた。
Quis est homo qui non fleret, これほどまでに悩む
Matrem Christi si videret キリストの母を見て、
In tanto supplicio? ともに泣かぬ者があろうか?
Quis non posset contristari 子と共に嘆き苦しむ、
Christi Matrem contemplari いつくしみ深い母を見て、
Dolentem cum Filio? ともに悲しまぬ者があろうか?
Pro peccatis suae gentis (聖母は)イエズスが、
Vidit Jesum in tormentis その民の罪のために責められ、
Et flagellis subditum. むち打ちに耐えられるのを見た。
Vidit suum dulcem Natum 聖母は最愛の御子が見捨てられ、
Moriendo desolatum 霊を渡して息絶えられるのを
Dum emisit spiritum. 御覧になられた。
Eja Mater, fons amoris ああ愛の泉なる母よ、
Me sentire vim doloris わたしにも悲しみをわかち、
Fac ut tecum lugeam. 共に涙をながさせたまえ。
Fac ut ardeat cor meum 私の心に
In amando Christum Deum, 神であるキリストへの愛の火を灯し、
Ut sibi complaceam. その御心へ適わせ給え。
Sancta Mater, istud agas, ああ、聖母よ、
Crucifixi fige plagas 十字架に釘付けられた御子の傷を、
Cordi meo valide. 私の心にも深く記させ給え。
Tui Nati vulnerati, あなたの子が傷付けられ、
Tam dignati pro me pati, 私のために耐えられた苦しみを、
Poenas mecum divide. 私にも分かたせ給え。
Fac me tecum pie flere 命ある限り、
Crucifixo condolere, 熱い涙をあなたと共に流し、
Donec ego vixero. 十字架刑の苦しみを共に得させ給え。
Juxta Crucem tecum stare, 十字架のもとに立ち、
Et me tibi sociare あなたと共に嘆くことを
In planctu desidero. 望み奉る。
Virgo virginum praeclara, おとめの中のいとも優れたおとめよ、
Mihi jam non sis amara, 私を退けることなく
Fac me tecum plangere. 共に嘆かせ給え。
Fac ut portem Christi mortem, キリストの死を私に負わせ、
Passionis fac consortem, その苦しみを分かたせ、
Et plagas recolere. その傷を深く覚えさせ給え。
Fac me plagis vulnerari, 御子の傷を私にも負わせ、
Fac me Cruce inebriari, その十字架と血とで、
Et cruore Filii. 酔わせてください。
Flammis ne urar succensus 最後の審判の日、
Per te, Virgo, sim defensus 地獄の火災に焼かれることなく、
In die judicii. 聖母よ私をお守りください。
Christe, cum sit hinc exire, 十字架で私を守り、
Da per Matrem me venire キリストの死で防ぎ、
Ad palmam victoriae. 恵みで私を奮いたたせてください。
Quando corpus morietur, 肉体は朽ち果てようとも、
Fac ut animae donetur 魂には天国の栄光を
Paradisi gloria. お与えください。
Amen. アーメン。
(訳:URI http://salveregina.dyndns.org/avemaria/special/perdolentis.html
「Ave Maria ! -- 聖母マリアのサイト」より)
 
Encore 1. アンコール 第1曲
G. Verdi ヴェルディ
Va, pensiero, sulla'ali dorate 往け、わが想いよ、黄金の翼に乗って
Opera, Nabucco 歌劇『ナブッコ』より
Va, pensiero, sulla'ali dorate; 往け、わが想いよ、黄金の翼に乗って、
Va, ti posa sui clivi, sui colli, 行って、憩え、あの丘に、山に。
Ove olezzano tepide e molli, そこは、暖かく、柔らかく、
L'aure dolci del suolo natal! 故国の甘い風が薫っていよう。
Del Giordano le rive saluta 送れ、挨拶を、ヨルダン川の川岸に、
Di Sïonne le torri atterrate そして、崩された、シオンの街のあの塔にも。
Oh ia patria sì bella e perduta! ああ、わが祖国、失われたあの美しい祖国、
Oh membranza sì cara e fatal! ああ、想い出、懐かしくも不幸な想い出。
Arpa d'ô dei fatidici varti, 運命を告げる預言詩人の黄金の竪琴よ、
Perchè muta dal salice pendi? なぜお前は、黙して、柳の木に架かっているのか。
Le memorie nel petto raccendi, 内に収めた記憶を取り出し、
Ci favella del tempo che fu! 過ぎし日を、われらに、語ってくれ。
O simìle di Solima ai fati あるいは、エルサレムの運命にも似せて
Traggi un suono di crudo lamento, 悲しい嘆きの声を響かせてくれ。
O t'ispiri il Signore un concento さもなくば、神から授かって、聞かせてくれ。
Che ne infonda al patire virtù ! 悲しみに耐える力となる楽の音を。
(小瀬村幸子訳)