第22回定期演奏会《クリスマス・オラトリオ》2008.12.19 ノバホール

【演奏者】
指揮 鈴木優 / ソプラノ 大河原美紀子 / メゾソプラノ 佐久間和子 / テノール 及川豊 / バリトン 米谷毅彦 / コンサート・ミストレス 神戸愉樹美 / オーケストラ つくば古典音楽合奏団 (第1ヴァイオリン 神戸愉樹美,夏目美絵,小林瑞葉; 第2ヴァイオリン 高橋真二,影山優子,鷲見明香 ; ヴィオラ 幡谷久仁子,上田美佐子; チェロ 高群輝夫,三間早苗 ; ヴィオローネ 蓮池仁 ; トラベルソ 北川森央,木下恵子 ; オーボエ&オーボエ・ダモーレ 江崎浩司,豊田舞 ; オーボエ・ダ・カッチャ 藤村理子 ; ファゴット&オーボエ・ダ・カッチャ 永谷陽子 ; トランペット 長田吉充,髙丸智子,狩野藍美 ; ティンパニー 松下真也 ; オルガン 渡部聡) / 合唱 つくば古典音楽合唱団


【プログラムと演奏録音】
J.S.Bach(1685-1750) バッハ
Weihnachts-Oratorium, BWV 248 クリスマスオラトリオ(第1部、第2部、第3部)
I.Teil Am 1. Weihnachtstag 第1部 クリスマス第1日に
1. Coro: Jauchzet, frohlocket, auf, preiset die Tage 歓声を上げ喜べ、さあ、この日々を讃えよ 22-01.mp3 :7.5MB
2. Evangelista: Es begab sich aber zu der Zeit ところでその頃 (ルカ2:1、3-6) 22-02.mp3 :1.3MB
3. Recitativo:Nun wird mein liebster Bräutigam 今こそ私の愛しい花婿が現れ 22-03.mp3 :827kB
4. Aria: Bereite dich, Zion シオンよ、備えよ 22-04.mp3 :5.1MB
5. Choral: Wie soll ich dich empfangen どのようにあなたを迎えよう 22-05.mp3 :1.1MB
6. Evangelista:Und sie gebar ihren ersten Sohn 彼女は初めての子を産み (ルカ2:7) 22-06.mp3 :394kB
7. Choral: Er ist auf Erden kommen arm 主は貧しい方として地上にいらした 22-07.mp3 :2.9MB
8. Aria: Großer Herr, o starker König 大いなる主よ、強き王よ 22-08.mp3 :4.4MB
9. Choral: Ach mein herzliebes Jesulein ああ、私の愛しい小さなイエスよ 22-09.mp3 :1.1MB
-休憩-
II.Teil Am 2. Weihnachtstag 第2部 クリスマス第2日に
10. Sinfonia シンフォニア 22-10.mp3 :5.0MB
11. Evangelista: Und es waren Hirten in derselben Gegend この地にて羊飼いらが (ルカ2:8-9) 22-11.mp3 :689kB
12. Choral: Brich an, o schönes Morgenlicht 現われよ、おお、美しき朝の光よ 22-12.mp3 :1.1MB
13. Evangelista: Und der Engel sprach zu ihnen 天使は彼らに言った (ルカ2:10-11) 22-13.mp3 :738kB
14. Recitativo:Was Gott dem Abraham verheißen 神がアブラハムに約束されたことが 22-14.mp3 :790kB
15. Aria: Frohe Hirten, eilt, ach eilet 喜べ、羊飼いらよ、急げ、ああ、急ぎ行け 22-15.mp3 :3.4MB
16. Evangelista: Und das habt zum Zeichen これがしるしである (ルカ2: 12) 22-16.mp3 :322kB
17. Choral: Schaut hin, dort liegt im finstern Stall 見よ、暗きうまやに寝かされた子を 22-17.mp3 :631kB
18. Recitativo: So geht denn hin, ihr Hirten, geht さあ行け、羊飼いらよ、行け 22-18.mp3 :767kB
19. Aria: Schlafe, mein Liebster, genieße der Ruh 眠れ、愛しい子よ、安らぎを感じて 22-19.mp3 :8.2MB
20. Evangelista: Und alsobald war da bei dem Engel するとたちまちこの天使の側に(ルカ2:13) 22-20.mp3 :277kB
21. Chorus: Ehre sei Gott in der Höhe 高きところでは神に栄光あれ(ルカ2:14) 22-21.mp3 :2.4MB
22. Recitativo: So recht, Ihr Engel, jauchzt und singet その通り、天使らよ、歓声を上げて歌いたまえ 22-22.mp3 :456kB
23. Choral: Wir singen dir in deinem Heer 我ら主の軍勢と共に歌わん 22-23.mp3 :1.2MB
-休憩-
III.Teil Am 3. Weihnachtstag 第3部 クリスマス第3日に
24. Coro: Herrscher des Himmels, erhöre das Lallen 天の支配者よ、拙い言葉を聞きたまえ 22-24.mp3 :2.0MB
25. Evangelista: Und da die Engel von ihnen gen Himmel fuhren 天使らが彼らから離れて天へと去ると(ルカ2:15) 22-25.mp3 :144kB
26. Chorus: Lasset uns nun gehen gen Bethlehem さあ、ベツレヘムへ行こう (ルカ2:15続き) 22-26.mp3 :720kB
27. Recitativo: Er hat sein Volk getröst' 主は自らの民を慰めたもうた 22-27.mp3 :713kB
28. Choral: Dies hat er alles uns getan 主はこれら全てを我らになしたもうた 22-28.mp3 :811kB
29. Aria Duetto: Herr, dein Mitleid, dein Erbarmen 主よ、あなたの思いやり、あなたの憐れみが 22-29.mp3 :6.8MB
30. Evangelista: Und sie kamen eilend 彼らは急いで行って (ルカ2:16-19) 22-30.mp3 :1.2MB
31. Aria: Schließe, mein Herze, dies selige Wunder 留めよ、私の心よ、この幸いな奇跡を 22-31.mp3 :4.8MB
32. Recitativo: Ja, ja, mein Herz soll es bewahren しかり、私の心は留め置かん 22-32.mp3 :449kB
33. Choral: Ich will dich mit Fleiß bewahren 私はあなたを精一杯心に留めよう 22-33.mp3 :880kB
34. Evangelista:Und die Hirten kehrten wieder um 羊飼いらは戻って行って (ルカ2:20) 22-34.mp3 :435kB
35. Choral: Seid froh dieweil これ故に喜べ 22-35.mp3 :754kB
Chorus I ab initio repetatur et claudatur 第3部冒頭の合唱(24番)を繰り返し、終演 22-36.mp3 :2.2MB


【プログラムノート】
《合唱曲》 鈴木 優

つくば古典音楽合唱団第22回演奏会にご来場いただき、まことにありがとうございます。今回は当合唱団にとって創立20周年という記念の年の演奏会です。1988年4月の創立以来私たちはさまざまな試行錯誤を重ねて、合唱団としての活動を継続してきました。活動のエネルギーの源泉はすばらしい音楽をみずから体験し、演奏することの喜び、楽しさであると思います。20年前の第1回演奏会に出演した団員数は23名でした。会場もノバホールのホワイエを使いました。その後、合唱団は少しずつ成長し10年目の年にはモーツァルトの「レクイエム」、一昨年の第20回演奏会ではバッハの「ミサ曲ロ短調」といった大曲にも挑めるようになりました。その間に貴重な時間を費やし練習に参加し、さらに運営上の仕事をこなしていった団員の皆様の熱意には敬服いたします。また、外から合唱団をサポートして下さる方々の暖かい励ましにも大変に感謝しております。毎回の演奏会のたびに、多くの方がアンケートに感想を書いてくださいますが、私たちは演奏会後の打ち上げ会の会場で、早くもむさぼるように読ませていただいております。私たちは毎週水曜日と月1回の日曜日に練習をしております。指導する立場の私にとってもオルガニストの渡部聡さん、ピアニストの中山ちあきさんにお手伝いいただく毎回の練習は、この数年とても楽しいものになってきています。単に演奏会に間に合わせるというだけのものでなく、音楽の中に思いがけない響きを発見したり、団員の皆様と共に音楽を作る喜びが味わえる場になってきました。これからも良い音楽を体験できる場としてあり続けられるよう21年目以降に歩みを進めて行きたいと思います。私たちの活動に興味を持っていただけたなら、是非当合唱団にご参加下さるようお願いいたします。

今回「つくば古典合唱団創立20周年記念誌」として過去の演奏曲目、プログラムノートをまとめたものを作成いたしました。ホワイエに用意してありますのでお手にとってご覧いただければと存じます。

*  *  *

さて、今夜はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)の「クリスマス・オラトリオ」です。私は1992年7月から1995年2月にかけて、南ドイツのアウグスブルク(ミュンヒェンから特急列車で40分)におりました。この滞在中には多くの収穫を得ることができましたが、そのひとつは教会暦と音楽の関係を生活の中で体験できたことです。市内のカトリック教会の中心はドムと呼ばれる大聖堂です。この教会には少年による聖歌隊(そのOBが、テノール、バス・パートを歌う)と成人による混声の聖歌隊が付属しており、夏を除いてほぼ一週おきに日曜日のミサで歌います。そのうちかなりの週ではオーケストラ付のハイドンやモーツァルトのミサ曲が歌われていました。とても贅沢なことですがドイツには教会税がありますので財政的には問題がないのでしょう。クリスマスの夜のミサではこの二つの聖歌隊が一緒に歌っていました。0:00を過ぎて日付が12月25日に変わると教会の中が明るい光に満たされ、その中で聴く「聖しこの夜」はとても印象的でした。日本では教会音楽は演奏会で聴かれる機会が多いので実感が持ちにくいのですが、ほとんどすべての教会音楽は教会暦上の特定の日に演奏するために作られています。日本では12月に演奏されるオラトリオといえばゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685-1759)の「メサイア」でしょう。しかしドイツではなんといっても「クリスマス・オラトリオ」です。大聖堂の少年聖歌隊は毎年2回に分けて演奏会で全曲を演奏していました。また、かつてマルティン・ルター(1483-1546)が訪れたという聖アンナというプロテスタントの教会でも毎年、全曲を一日で演奏していました。そして、私が最初に受講していた合唱指揮者のためのセミナーでは市音楽学校の一般市民のための合唱団への参加が義務付けられていましたが、そこで最初に歌ったのも「クリスマス・オラトリオ1~3部」でした。日本ではバッハの教会音楽の大曲というと「ヨハネ、マタイ受難曲」と「ミサ曲ロ短調」に関心が集中しているように思いますが、ドイツにおいて、輝きに満ちた「クリスマス・オラトリオ」の良さを十分に知ることができたと思います。

*  *  *

J.Sバッハは1685年3月21日に中部ドイツの小都市アイゼナッハで音楽家の家系の一族に生まれました。15歳の年である1700年にはリューネブルクの聖歌隊員となり、寄宿学校でも学びます。卒業後1703年にアルンシュタット、1707年にはミュールハウゼンのオルガニストに採用されます。1707年10月17日にバッハはマリーア・バルバラと結婚しました。バッハの最も初期のカンタータはこの時代に作曲されました。この間の1705年10月よりリューベックに滞在しディートリヒ・ブクステフーデ(1637-1707)のオルガン演奏や教会音楽に大きな影響を受けました。この滞在は当初4週間の予定でしたが、結局は4ヶ月に及ぶものとなりました。バッハは生涯全体において比較的狭い地域の中で生活しておりましたので、この旅行は最も大きな旅行でした。1708~17年はヴァイマールで宮廷オルガニストと楽師長を務めます。1717~23年にはライプツィッヒ北西50kmのケーテンの宮廷楽長の地位にあります。ケーテンの領主レオポルド公は音楽を好み、宮廷楽団も水準の高いものでした。バッハは楽団の名手たちのために「ブランデンブルク協奏曲」をはじめとする多くの器楽曲を作曲しました。このケーテン時代はバッハの人生の上ではとても幸福な時代であったとされています。しかし、1720年7月に妻バルバラが4人の子供を残して急死してしまいます。そしてバッハは翌年の1721年12月3日に宮廷ソプラノ歌手で20歳のアンナ・マグダレーナ・ヴィルケと再婚します。バッハはアンナ・マグダレーナとの間に13人の子供をもうけましたが、成人したのは6人だけでした。同じ頃レオポルド公も再婚をするのですが、新しい后妃が音楽嫌いであったためバッハは転職を考えます。そして1723年にトーマス教会カントルに就任しました。バッハは市内の4つの教会のために作曲し、それを練習して演奏する上に教会付属学校の教師としての職務もこなすという多忙な日々を送ります。最初の1年間になんと約50曲の新作のカンタータを演奏しています。その後も晩年に至るまでバッハの創作は続きます。1747年にはフリードリッヒ大王の主題による「音楽の捧げ物」、1749年にかけて「ミサ曲ロ短調」、「フーガの技法」といった集大成的な作品がまとめられます。1750年3月に白内障の手術を受けますが、これ以降バッハは視力を失います。7月18日に一時的に視力が回復しますが直後に卒中の発作がおこり、10日後の7月28日に65年の生涯を閉じました。「故人略伝」(息子エマーニエルによるバッハの年代記)には「バッハは救い主の功徳を願いつつ平穏かつ浄福に世を去った」と記されています。

*  *  *

バッハの「クリスマス・オラトリオ」は6曲の教会カンタータの集合体です。バッハの時代の教会カンタータは、ドイツ・プロテスタントの礼拝のための音楽であり、毎週日曜の礼拝やその他の祝日に教会で演奏されました。一般に日本ではクリスマスというと12月24日がクリスマス・イヴ、25日がクリスマスというように2日間しか考えませんが、ドイツでは12月25日から1月6日までをクリスマスの期間と考えます。

「クリスマス・オラトリオ」を構成する6曲のカンタータは1734~35年のクリスマス期間に初演されました。

各カンタータの初演された日、その日がどういった祝日であったか、どこの教会での礼拝で演奏されたかをまとめると、以下のようになります。

各カンタータの初演
・第1部「歓声を上げ喜べ、さあ、この日々を讃えよ」
  1734年12月25日(土)降誕節第1日 午前:聖ニコライ教会、午後:聖トーマス教会
・第2部「この地にて羊飼いらが」
  1734年12月26日(日)降誕節第2日 午前:聖トーマス教会、午後:聖ニコライ教会
・第3部「天の支配者よ、拙い言葉を聞きたまえ」
  1734年12月27日(月)降誕節第3日 午前:聖ニコライ教会
・第4部「ひれ伏せ、感謝もて」
  1735年1月1日(土)新年(割礼と命名の祝日) 午前:聖トーマス教会、午後:聖ニコライ教会
・第5部「栄光あれ、神よ、汝に歌わん」
  1735年1月2日(日)新年の最初の日曜日 午前:聖ニコライ教会
・第6部「主よ勝ち誇れる敵どもの息巻く時」
  1735年1月6日(木)主顕現祭 午前:聖トーマス教会、午後:聖ニコライ教会

*  *  *

本日演奏いたしますのは前半の3つの部分、すなわち降誕節第1~3日のための3曲のカンタータです。

それぞれのカンタータは、大規模な合唱曲、コラール(ドイツ・プロテスタント教会の賛美歌)編曲の合唱曲、独唱によるレチタティーヴォ、アリア、重唱曲、器楽によるシンフォニアによって構成されます。また、テキストは聖書の詩句、コラール詩、宗教的な自由詩が組み合わされています。バッハは「クリスマス・オラトリオ」の作曲にあたって、自作の世俗カンタータの合唱曲とアリアを歌詞を付け替え、改作して転用しました。第1~3部には1733年9月5日に演奏されたザクセン皇太子フリードリヒのためのカンタータ「われら心を配り、しかと見守らんBWV213」、および1733年12月8日に演奏されたザクセン選帝侯妃兼ポーランド王妃マリア・ヨゼファの誕生日のためのカンタータ「太鼓よとどろけ、ラッパよ響けBWV214」から2曲の合唱曲、4曲のアリア、1曲の二重唱曲が転用されています。

第1部は「ルカによる福音書」第2章2-7節、ヨセフとマリアのベツレヘムへの帰郷とマリアが初めての子を産み飼い葉桶に寝かせたという記述が中心となります。オーケストラは3本のトランペット、2本ずつのフラウト・トラヴェルソとオーボエ(オーボエ・ダモーレ持ち替え)、通奏低音のファゴット、ティンパニー、弦楽合奏、オルガンという編成です。第1部には三人の独唱者が登場いたしますがテノール独唱は福音史家として聖書の記述を朗誦し、アルトとバスの独唱者は自由な宗教詩によるレチタティーヴォとアリアを歌います。第1曲はBWV214の冒頭合唱「太鼓よとどろけ、ラッパよ響け」の改作による大規模な合唱曲です。バッハはこの世俗カンタータを作曲した際に、おそらく最初から後の改作を計画していたと考えられています。第5曲のコラールは受難のコラールとして知られている旋律ですが、バッハの時代には待降節にも歌われていました。待降節-降誕-受難をひとつづきのものとするルター派の考えが表れています。終曲はルターによる降誕節のコラール「高き天よりわれは来たり」の編曲です。このコラールは第2部でも歌われます。

第2部は「ルカによる福音書」第2章8-14節、野宿する羊飼いへの天使のみ告げが主題です。オーケストラには三本のトランペットの代わりに2本のオーボエ・ダ・カッチャが加わります。第2部はオーケストラによるシンフォニアで開始されます。羊飼いの象徴である4本のオーボエ族の楽器のグループと、天使の奏楽の象徴であるヴァイオリンとフラウト・トラヴェルソの音型が歌い交わすようにしてパストラーレを演奏します。第2部ではソプラノ独唱も加わり天使のお告げを朗唱します。大規模な合唱は天の軍勢による神の賛美の言葉「高きところでは神に栄光あれ」を歌います。第17曲と終曲のコラールはどちらも「高き天よりわれは来たり」によるものです。

第3部は「ルカによる福音書」第2章15-20節、み告げを受けた羊飼いたちのベツレヘム訪問、生まれたばかりのイエスとの出会いと賛美が歌われます。オーケストラの編成は第1部と同じであり、冒頭の第24曲の合唱は第1部の開始を思い起こさせるトランペットとティンパニーを伴う輝かしい音楽です。第3部には3曲のコラールが歌われますが、いずれもキリスト者の共同体の強い意思の表明となっています。第29曲はソプラノとバスによる二重唱で2本のオーボエ・ダモーレのオブリガートと共に主の優しき心を歌います。第31曲のアルト独唱のためのアリアは「クリスマス・オラトリオ」中、唯一のオリジナルのアリアと考えられています。ヴァイオリンによるオブリガート付のロ短調のアリアは奇跡を体験したマリアの心情を歌っています。そして輝かしい冒頭の合唱曲が繰り返され「クリスマス・オラトリオ」の3日間にわたる待降節の部分が完結いたします。


【歌詞対訳】
     
J. S. Bach : Weihnachts-Oratorium, BWV 248 バッハ:クリスマスオラトリオ(第1部、第2部、第3部)

I. Teil Am 1. Weihnachtstag 第1部  クリスマス第1日に

1. Coro:Jauchzet, frohlocket, auf, preiset die Tage 1. 合唱: 歓声を上げ喜べ、さあ、この日々を讃えよ
Jauchzet, frohlokket, auf, preiset die Tage, 歓声を上げよ、喜べ、さあ、この日々をたたえよ。
rühmet, was heute der Höchste getan! 今日、いと高き神がなさったことを讃美せよ。
Lasset das Zagen, verbannet die Klage, ためらうことはやめよ、嘆きは捨てよ。
stimmet voll Jauchzen und Frölichkeit an! 歓呼と歓喜を高らかに歌い上げよ。

Dienet dem Höchsten mit herrlichen Chören, 壮麗なる合唱でいと高き神に奉仕せよ。
laßt uns den Namen des Herrschers verehren! 支配者なる主の御名を崇敬しよう。

2. Evangelista: Es begab sich aber zu der Zeit (Tenore) 2. 福音書: ところでその頃 (ルカ2:1、3-6)
Es begab sich aber zu der Zeit, daß ein Gebot von dem Keiser Augusto ausging, daß alle Welt geschätzet würde. ところでその頃、全世界の人口調査を実施せよとの皇帝アウグストゥスの命令が発布された。
Und jedermann ging, daß er sich schätzen ließe, ein jeglicher in seine Stadt. 人々は皆、人口調査の登録のために各々自分の街へと向かった。
Da machte sich auch auf Joseph aus Galiläa, そこで、ガリラヤ地方のナザレの街に住むヨセフも、
aus der Stadt Nazareth, in das jüdische Land ダビデの家に属し、その一族の生まれだったので、
zur Stadt David, die da heißet Bethlehem; darum, daß er von dem Hause und Geschlechte David war: ユダヤの地のダビデの街、ベツレヘムという所に向けて旅立った。
auf daß er sich schätzen ließe mit Maria, seinem vertrauten Weibe, die war schwanger. 身重であった婚約者のマリアと一緒に、登録を受けるためにである。
Und als sie daselbst waren, kam die Zeit, daß sie gebären sollte. 彼らがその街にいる時に、月が満ちて、彼女の出産の時が訪れた。

3. Recitativo:Nun wird mein liebster Bräutigam (Alto) 3. 叙唱: 今こそ私の愛しい花婿が現れ
Nun wird mein liebster Bräutigam, 今こそ私の愛しい花婿が現れます。
nun wird der Held aus Davids Stamm 今こそダビデの一族の英雄が
zum Trost, zum Heil der Erden 地上の民の慰めとして、救いとして、
einmal geboren werden. ついにお生まれになります。

Nun wird der Stern aus Jakob scheinen, 今こそヤコブの家から出た星が輝きます。
sein Strahl bricht schon hervor. その方の光は突然現れます。
Auf, Zion, und verlasse nun das Weinen, さあ、シオンよ、もう泣くのは止めなさい。
dein Wohl steigt hoch empor! お前の幸福が高く立ち上るのだから。

4. Aria: Bereite dich, Zion (Alto) 4. アリア: シオンよ、備えよ
Bereite dich, Zion, mit zärtlichen Trieben, シオンよ、準備せよ。愛をこめたこころを以って。
den Schönsten, den Liebsten bald bei dir zu sehn! 最も美しい方、最も愛しい方にもうすぐ会えるから。

Deine Wangen müssen heut viel schöner prangen, お前の頬は今日一段と美しく輝いているはず。
eile, den Bräutigam sehnlichst zu lieben! 愛することを待ち焦がれた花婿のもとへ急ぎ行け。

5. Choral: Wie soll ich dich empfangen 5. コラール: どのようにあなたを迎えよう
Wie soll ich dich empfangen 私はどのようにあなたをお迎えし、
und wie begegn' ich dir? どのようにあなたをおもてなししましょう?
O aller Welt Verlangen, おお、全世界が待望した御方、
o meiner Seelen Zier! おお、我が魂を飾る栄誉よ。

O Jesu, Jesu, setze おお、イエス様、イエス様、
mir selbst die Fakkel bei, どうぞ私へ松明を照らしてください。
damit, was dich ergötze, その灯りで、あなたを喜ばせる方法を
mir kund und wissend sei! 私がよく知ることができますように。

6.Evangelista:Und sie gebar ihren ersten Sohn (Tenore) 6. 福音書: 彼女は初めての子を産み (ルカ2:7)
Und sie gebar ihren ersten Sohn und wikkelte ihn in Windeln und legte ihn in eine Krippen, denn sie hatten sonst keinen Raum in der Herberge. マリアは最初の子を産み、その子に布を巻いて、飼い葉桶の中に寝かせた。宿屋には他に場所がなかったからである。

7.Choral: Er ist auf Erden kommen arm (Sop.,Basso) 7. コラール: 主は貧しい方として地上にいらした
Er ist auf Erden kommen arm, 主は、貧しい方として地上にいらっしゃいました。
   Wer will die Liebe recht erhöhn,    我らの救い主が我らを想われるその愛を
   die unser Heiland vor uns hegt?    誰が正しく褒め上げられるのだろう?
daß er unser sich erbarm, 私たちをあわれむため、
   Ja, wer vermag es einzusehen,    そうだ、主がどれほど人間の苦悩について
   wie ihn der Menschen Leid bewegt?    慮られたか、誰が理解できるのだろう?
und in dem Himmel mache reich, また、私たちを天国で富める者とし、
   Des Höchsten Sohn kömmt in die Welt,    いと高き神の御子がこの世にいらしたのは
   weil ihm ihr Heil so wohl gefällt,    彼があなた方の救済を強く望まれたから。
und seinen lieben Engeln gleich. 主が愛される天使たちと等しい存在にするために。
   so will er selbst als Mensch    そうして、主は御自ら人間として
   geboren werden.    生まれようとなさった。
Kyrieleis! 主よ、あわれみたまえ!

8. Aria: Großer Herr, o starker König (Basso) 8. アリア: 大いなる主よ、強き王よ
Großer Herr, o starker König, 大いなる主よ、強き王よ、
liebster Heiland, o wie wenig 親愛なる救い主よ、おお、あなたは何とわずかほども
achtest du der Erden Pracht! 地上の豪華なものを気になさらないのでしょう。

Der die ganze Welt erhält, 全世界を手に入れる御方、
ihre Pracht und Zier erschaffen, 全世界の豪華絢爛なものを造られる御方が
muß in harten Krippen schlafen. 硬い飼い葉桶の中で眠らねばならないとは。

9. Choral: Ach mein herzliebes Jesulein 9. コラール: ああ、私の愛しい小さなイエスよ
Ach mein herzliebes Jesulein, ああ、私の心から愛しい小さなイエス様、
mach dir ein rein sanft Bettelein, お休みいただくために、私の心の奥に祭壇を設けて、
zu ruhn in meines Herzens Schrein, きれいで柔らかなベッドをご用意しましょう。
daß ich nimmer vergesse dein! 私があなたを、決して忘れることがないように。


II. Teil Am 2. Weihnachtstag 第2部  クリスマス第2日に
11.Evangelista:Und es waren Hirten in derselben Gegend (Tenore) 11. 福音書: この地にて羊飼いらが (ルカ2:8-9)
Und es waren Hirten in derselben Gegend auf dem Felde この同じ地方の草原に羊飼いらがいて、柵の近くで
bei den Hürden, die hüteten des Nachts ihre Herde. 夜通し家畜の番をしていた。
Und siehe, des Herren Engel trat zu ihnen, und die Klarheit すると主の天使が彼らに近づいて来て、主の栄光が
des Herren leuchtet um sie, und sie furchten sich sehr. 彼らの周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。

12.Choral: Brich an, o schönes Morgenlicht 12. コラール: 現われよ、おお、美しき朝の光よ
Brich an, o schönes Morgenlicht, 現れよ、おお、美しき朝の光よ、
und laß den Himmel tagen! 空を明るく照らしたまえ。
Du Hirtenvolk, erschrekke nicht, 羊飼いの民らよ、驚くな、
weil dir die Engel sagen, 天使がこのように告げるのだから。
daß dieses schwache Knäbelein このか弱き嬰児こそが
soll unser Trost und Freude sein, 私たちの慰めかつ喜びであり、
dazu den Satan zwingen やがてサタンを打ち倒し、
und letztlich Friede bringen! ついには平和をもたらして下さる方なのだと。

13. Evangelista: Und der Engel sprach zu ihnen (Tenore, Soprano[Angelus]) 13. 福音書: 天使は彼らに言った (ルカ2:10-11)
Und der Engel sprach zu ihnen: 天使は彼らにこのように言った。
Fürchtet euch nicht, siehe, ich verkündige euch große Fruede, die allem Volke widerfahren wird. 「恐れることはない。見よ、私はあなた方に、全ての民へ与えられる大いなる喜びを告げよう。
Denn euch ist heute der Heiland geboren, welcher ist Christus, der Herr, in der Stadt David. あなたがたのために今日ダビデの街で救い主がお生まれになった。この方は主キリストである。」

14.Recitat. :Was Gott dem Abraham verheißen(Basso) 14. 叙唱: 神がアブラハムに約束されたことが
Was Gott dem Abraham verheißen, 神がアブラハムに約束されたことが
das läßt er nun dem Hirtenchor 今こそ果たされたのだと
erfüllt erweisen. 神は羊飼いの群れに示された。
Ein Hirt hat alles das zuvor ひとりの羊飼いがかつてその全てを
von Gott erfahren müssen. 神から知らされていた。
Und nun muß auch ein Hirt die Tat, 今またひとりの羊飼いが
was er damals versprochen hat, 神がその時誓われた御業が果たされたことを
zuerst erfüllet wissen. 一番はじめに知らされたのだ。

15. Aria: Frohe Hirten, eilt, ach eilet (Tenore) 15.アリア:喜べ、羊飼いらよ、急げ、ああ、急ぎ行け
Frohe Hirten, eilt, ach eilet, 喜べ、羊飼いたちよ、急げ、ああ、急ぎ行け、
eh ihr euch zu lang verweilet, あまり長いこと留まっていないで、
eilt, das holde Kind zu sehn! かわいい御子に会いに、急いで行きなさい。

Geht, die Freude heißt zu schön, 行きなさい、その喜びはあまりにも美しい。
sucht die Anmut zu gewinnen, その優美さを得るよう、探しなさい。
geht und labet Herz und Sinnen! 行って、心と気持ちを元気づけなさい。

16. Evangelista: Und das habt zum Zeichen (Tenore) 16. 福音書: これがしるしである (ルカ2: 12)
Und das habt zum Zeichen: 「これがそのしるしである。
Ihr werdet finden das Kind in Windeln gewikkelt und in einer Krippe liegen. あなたがたは布を巻かれて飼い葉桶に寝かされた幼子を見つけるだろう。」

17. Choral: Schaut hin, dort liegt im finstern Stall 17. コラール: 見よ、暗きうまやに寝かされた子を
Schaut hin, dort liegt im finstern Stall, そこを見よ、暗い家畜小屋に寝かされた子を、
des Herrschaft gehet überall! その子の権力は全世界に及ぶのだ。
Da Speise vormals sucht ein Rind, そこはかつて牛が飼い葉をあさる場所であったが、
da ruhet itzt der Jungfrau'n Kind. そこで今はおとめから生まれた御子が憩われている。

18.Recitativo: So geht denn hin, ihr Hirten, geht (Basso) 18. 叙唱: さあ行け、羊飼いらよ、行け
So geht denn hin, ihr Hirten, geht, さあ、そこへ行きなさい、羊飼いらよ、
daß ihr das Wunder seht: その奇跡を見に行きなさい。
Und findet ihr des Höchsten Sohn そしていと高き神の御子が
in einer harten Krippe liegen, 硬い飼い葉桶に寝ているのを見つけなさい。
so singet ihm bei seiner Wiegen さあ、そのゆりかごのかたわらで
aus einem süßen Ton 甘美な音で歌い
und mit gesamtem Chor お前たち皆の合唱で
dies Lied zur Ruhe vor. この子守唄を御子にお聞かせなさい。

19. Aria: Schlafe, mein Liebster, genieße der Ruh (Alto) 19. アリア: 眠れ、愛しい子よ、安らぎを感じて
Schlafe, mein Liebster, お眠りなさい、私の愛しい子、
genieße der Ruh, この安らぎを味わいなさい。
wache nach diesem vor aller Gedeihen! 憩われた後、全ての繁栄が来る前に、お目覚めなさい。

Labe die Brust, その胸を元気づけ、
empfinde die Lust, 私たちが心から喜んでいる
wo wir unser Herz erfreuen! その悦びを感じてください。

20. Evangelista: Und alsobald war da bei dem Engel (Tenore) 20. 福音書: するとたちまちこの天使の側に(ルカ2:13)
Und alsobald war da bei dem Engel die Menge der himmlischen Heerscharen, die lobten Gott und sprachen: すると間もなくその天使のそばに大勢の天の軍勢が現れ、神を讃美してこう唱えた。

21. Chorus: Ehre sei Gott in der Höhe 21. 合唱: 高きところでは神に栄光あれ(ルカ2:14)
Ehre sei Gott in der Höhe 「高きところでは神に栄光あれ。
und Friede auf Erden 地上には平和あれ。
und den Menschen ein Wohlgefallen. 人々には喜びあれ。」

22. Recitativo: So recht, Ihr Engel, jauchzt und singet(Basso) 22. 叙唱: その通り、天使らよ、歓声を上げて歌いたまえ
So recht, ihr Engel, jauchzt und singet, その通りだ、天使たちよ、歓声を上げて歌いたまえ、
daß es uns heut so schön gelinget! 私たちは今日、素晴らしいことに出会ったのだから。
Auf denn! Wir stimmen mit euch ein, さあそれでは、私たちもあなたがたに声を合わせ、
uns kann es so wie euch erfreun. あなたがたと同じように喜びを歌いましょう。

23. Choral: Wir singen dir in deinem Heer 23. コラール: 我ら主の軍勢と共に歌わん
Wir singen dir in deinem Heer 私たちはあなたの天の軍勢に混じって歌います。
aus aller Kraft Lob, Preis und Ehr, 力の限りに、讃美と賞賛と栄光の歌を。
daß du, o lang gewünschter Gast, おお、長い間待ち望まれた賓客よ、
dich nunmehr eingestellet hast. まさに今、あなたが地上に現れられたのですから。


III. Teil Am 3. Weihnachtstag 第3部  クリスマス第3日に
24. Coro: Herrscher des Himmels, erhöre das Lallen 24. 合唱: 天の支配者よ、拙い言葉を聞きたまえ
Herrscher des Himmels, erhöre das Lallen, 天の支配者よ、つたない言葉を聞き入れてください。
laß dir die matten Gesänge gefallen, 弱々しい歌をも御心に適うものとしてください。
wenn dich dein Zion mit Psalmen erhöht! あなたのシオンの民が賛歌を奉げる時には。

Höre der Herzen frohlokkendes Preisen, 私たちがあなたに畏敬の念をお示しする今この時には
wenn wir dir itzo die Ehrfurcht erweisen, 喜び踊る心からの讃美をお聞きください。
weil unsre Wohlfahrt befestiget steht! 私達の安寧が確かなものとされたのですから。

25. Evangelista: Und da die Engel von ihnengen Himmel fuhren (Tenore) 25. 福音書: 天使らが彼らから離れて天へと去ると (ルカ2:15)
Und da die Engel von ihnen gen Himmel fuhren, sprachen die Hirten untereinander: 天使たちが彼らから離れて天へと去ると、羊飼いたちは互いにこう言い合った。

26. Chorus: Lasset uns nun gehen gen Bethlehem 26. 合唱:さあ、ベツレヘムへ行こう(ルカ2:15続き)
Lasset uns nun gehen gen Bethlehem 「さあ、ベツレヘムへ行って、
und die Geschichte sehen, die da geschehen ist, そこで起きたこと、
die uns der Herr kundgetan hat. 主が私達にお告げになった出来事を見よう。」

27. Recitativo: Er hat sein Volk getröst' (Basso) 27. 叙唱: 主は自らの民を慰めたもうた
Er hat sein Volk getröst', 主はご自身の民を慰められました。
er hat sein Israel erlöst, 主はご自身のイスラエルを救い出されました。
die Hülf aus Zion hergesendet 救いがシオンから地上へ送り込まれ、
und unser Leid geendet. 私たちの苦悩を終わらせて下さいました。
Seht, Hirten, dies hat er getan; 見よ、羊飼いたちよ、主はこのことを為されました。
geht, dieses trefft ihr an! 行って、これに出会いなさい。

28. Choral: Dies hat er alles uns getan 28. コラール: 主はこれら全てを我らになしたもうた
Dies hat er alles uns getan, 主は大いなる愛を示すために、
sein groß Lieb zu zeigen an; これらのこと全てを私たちに為されました。
des freu sich alle Christenheit 全キリスト教徒よ、このことについて喜び、
und dank ihm des in Ewigkeit. 主に永遠に感謝しなさい。
Kyrieleis! 主よ、あわれみたまえ。

29. Aria Duetto: Herr, dein Mitleid, dein Erbarmen(Soprano, Basso) 29. アリア二重唱: 主よ、あなたの思いやり、あなたの憐れみが
Herr, dein Mitleid, dein Erbarmen 主よ、あなたの思いやり、あなたのあわれみが
tröstet uns und macht uns frei. 私たちを慰め、私たちを自由にします。

Deine holde Gunst und Liebe, あなたの優しいご好意と愛、
deine wundersamen Triebe あなたの驚くべき情熱が
machen deine Vatertreu あなたの父としての誠実さを
wieder neu. 再び新たにするのです。

30. Evangelista: Und sie kamen eilend (Tenore) 30. 福音書: 彼らは急いで行って (ルカ2:16-19)
Und sie kamen eilend und funden beide, Mariam und Joseph, dazu das Kind in der Krippe liegen. 彼らは急いで行って、マリアとヨセフの二人と、飼い葉桶に寝かされた幼子とを見つけた。
Da sie es aber gesehen hatten, breiteten sie das Wort aus, welches zu ihnen von diesem Kind gesaget war. 彼らはその光景を見て、この子について彼らが告げられた話について人々に語った。
Und alle, für die es kam, wunderten sich der Rede, die ihnen die Hirten gesaget hatten. これを聞いた人たちは皆、羊飼いたちの語る話をいぶかしがった。
Maria aber behielt alle diese Worte und bewegte sie in ihrem Herzen. しかしマリアはこの言葉の全てを心に留め置き、何度も思い返した。

31.Aria:Schließe, mein Herze, dies selige Wunder(Alto) 31. アリア: 留めよ、私の心よ、この幸いな奇跡を
Schließe, mein Herze, 留めなさい、私の心よ、
dies selige Wunder この幸せな奇跡のことを
fest in deinem Glauben ein! お前の信仰の中にしっかりと。

Lasse dies Wunder, この奇跡が、
die göttlichen Werke 神の御業が
immer zur Stärke お前の弱い信仰の
deines schwachen Glaubens sein! いつも強さになるように。

32.Recitativo: Ja, ja, mein Herz soll es bewahren (Alto) 32. 叙唱: しかり、私の心は留め置かん
Ja, ja, mein Herz soll es bewahren, そうです、私の心は留めて置くでしょう。
was es an dieser holden Zeit この快い時に
zu seiner Seligkeit 心の幸福の
für sicheren Beweis erfahren. 確かな証拠を受け取ったのですから。

33. Choral: Ich will dich mit Fleiß bewahren 33. コラール: 私はあなたを精一杯心に留めよう
Ich will dich mit Fleiß bewahren, 私はあなたを精一杯心に留め、
ich will dir あなたにならって
leben hier, この世に生きましょう。
dir will ich abfahren, やがて私はあなたに向けて旅立ちましょう。

mit dir will ich endlich schweben ついにはあなたと共に
voller Freud 喜びで満たされ
ohne Zeit 時間の存在しない
dort im andern Leben. かの世で漂い浮かびましょう。

34. Evangelista: Und die Hirten kehrten wieder um(Tenore) 34. 福音書: 羊飼いらは戻って行って (ルカ2:20)
Und die Hirten kehrten wieder um, preiseten und lobten 羊飼いたちは戻って行って、神をたたえ、讃美した。
Gott um alles, das sie gesehen und gehöret hatten, 彼らが見たこと、聞いたことが全て、彼らに前もって
wie denn zu ihnen gesaget war. 告げられた通りだったからである。

35. Choral: Seid froh dieweil 35. コラール: これ故に喜べ
Seid froh dieweil, このことゆえに喜びなさい。
daß euer Heil あなた方の救いは
ist hie ein Gott ここに、神であり
und auch ein Mensch geboren, 同時に人である御方として誕生されたのだ。

der, welcher ist この方は主であり
der Herr und Christ ダビデの街のキリスト、
in Davids Stadt, 多くの人間の中から
von vielen auserkoren. 神に選ばれた方である。

Chorus I ab initio repetatur et claudatur 第3部冒頭の合唱(24番)を繰り返し、終演

(川田道子 訳)